変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

――経営理念やミッションを全社員に伝えるのは困難です。

「このやり方は社長一人ではできません。店舗と本部の、それぞれの管理職チームがどう動くかにかかっています。それぞれの立場にいるリーダーが部下に対して、同じメッセージをしっかり伝えられるシステムを構築するよう心がけています。そのために、常に対話することを奨励しています。コロナが流行する前ですが、例えば相手と話すときはマスクを取ることも心がけてもらっていました。表情からも伝わることがあるからです」

「各リーダーは経営理念を伝えるために、オーセンティシティーを持たなければいけません。その人らしさや信頼感を与えられなければ、相手に理念を伝えられないのです。また人事評価や指導、フィードバックの仕方までしっかり教えています。現状では誰でも、人として弱い部分が表に出てきやすくなります。だからこそリーダーは心の壁を取り払って、自ら部下に歩み寄り、この状況を乗り越える姿勢が求められます。私はこの点に関して、女性リーダーにアドバンテージがあるのではないかと考えています。女性リーダーの多くは伝統的なトップダウン型の意思伝達をしません。相手の感情を理解して、相手の状況を見極めて指示を出すのです。このやり方は今の状況下で、とても有効だと感じます」

ライス氏はスウェーデン南部のマルメで生まれ、伸び伸びと育った(幼少期のライス氏)

ライス氏はスウェーデン南部のマルメで生まれ、伸び伸びと育った(幼少期のライス氏)

――各国の現地法人やグローバルのトップと、どう意思疎通を図っていますか。

「コロナの流行で、むしろ各国の社長やグローバルの最高経営責任者(CEO)との距離が今まで以上に近くなったと感じています。対話アプリを使って毎日連絡を取り合い、刻々と変わる世界の店舗状況などを共有するようになりました。国によっては店舗を休業してオンラインのみで営業しているところもあるので、各自でより良いやり方を考え出して、良い事例はシェアしています。単純にともに働く仲間として、励まし合うことだってありますよ。(各国のイケアの親会社である)インカグループの社長も毎週、約16万人の全従業員に向けてビデオメッセージを発信しています。『会社として今できることは何か』『会社がどういう方向に向かっているのか』などが主な内容です」

「先日インカグループとして2600万ユーロ(約30億円)規模の現物寄付をしました。30カ国の病院や避難所などに、寝具や食品、おもちゃといった現物を提供しました。社会貢献であるだけでなく、臨時休業している直営店を配送拠点に活用するなどして従業員の雇用を確保できるためです」

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedoNIKKEI SEEKS日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック