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「当たり前」を覆すことに憧れた

どんな組織でなら、自分の力を発揮したいと思えるか。斉藤氏の場合、そのイメージは、東京大学の機械情報工学専攻在学時、友人と共にスタートアップを立ち上げた経験の中で形づくられた。

手掛けたサービスは「mikan(ミカン)」という英単語学習アプリ。大学院試験を終えたばかりだった大学4年の夏、同級生から突然、「一緒に単語アプリをつくらないか」と誘われた。初めこそ戸惑ったが、すぐに参画を決めたのは「自分の手で、世の中の『当たり前』を変えるような仕事をいつかしてみたい」という漠然とした思いがあったからだ。その思いを象徴するような商品は、大学入学のころに、初めて触れたスマートフォン「iPhone」だった。

「手元のスマートフォン一つで何でもできるようになって、さまざまなアプリもどんどん出てきて、これまでのコミュニケーションのあり方が急速に変化していく。『当たり前』だと思っていたことが、根底から変わっていくのを肌で感じていました。大学ではプログラミングや人工知能(AI)について学んでいたので、将来的にはそのスキルを生かして、世の中の常識を変えるような仕事ができないかと憧れていた。そこに、起業の話が飛び込んできたんです」

当時、衝撃を受けたのはiPhoneだけではなかった。フェイスブックやツイッターなど、世界を席巻するサービスが生まれる一方で、「日本発」の存在感がないのが気にかかったという。「大きな要因の一つに、言語の壁があるのではないか。英語教育のあり方を変えられたら、この国の可能性をもっと広げられるはずだ」。それが当時の斉藤氏らの思いだった。しかも、アプリ開発はすぐにでも始められる、身近な手段だった。

学生ベンチャーでの英語アプリ開発は斉藤氏の原体験になった

学生ベンチャーでの英語アプリ開発は斉藤氏の原体験になった

「開発のためのツールは、学生である僕たちも含め、誰にでも手に入る状況でした。だから、挑戦するハードルはとても低かったのです。学生ベンチャーなので、青臭い部分もつたない部分もありましたが、ミッションは『1億総バイリンガル』と、野望は大きかった。まずは英語学習の『当たり前』から覆してやる、という情熱に燃えていました」

当初のメンバーは3人。斉藤氏が住んでいたワンルームマンションで毎日のように合宿し、試行錯誤を繰り返しながら開発に力を注いだ。

「一度つくり上げた画面を、『いや、これじゃだめだ!』と言って、ほぼゼロからやり直すみたいなことを、ユーザー向けの試用版リリース前の1カ月半ほどで10回はやりましたね。とにかく全員が『ユーザーに支持されるものをつくること』に一生懸命で、議論に熱中するあまりケンカになることも。ただ、やめたくなることは全くありませんでした」

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