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日繰りのキャッシュ管理がすべて

心得はさらに2つ、「現金残高」と「資本の名人」とある。マネー面へのリアルな視線こそ修羅場をくぐったプロならではの指摘で、危機の局面では「日繰りのキャッシュ管理がすべて」といい、「融資に頼るべきつなぎ資金と、出資によって長期的な投資に使えるリスクキャピタル」という2種類のお金の用意が必要という。JAL再生タスクフォースでのエピソードとともに読むと、その心得のリアリティーが実感できる。

最後に見すえるのは「ポストコロナショックの時代に対するビジョン」。コロナショックはかつてない危機であり、まずは何としても生き残るのが第一だが、危機の時代こそ構造改革の好機と、コーポレートトランスフォーメーション(CX)を呼びかける。最近はやりのデジタルトランスフォーメーション(DX)は多くの企業で「DXごっこ」に陥っており、本物の危機をテコに企業も個人も本物の能力の大変容へと結びつけよと企業人へ熱いメッセージを送る。「オフィス街の店舗なので来店客が減っているが、その中では反応する人が多かった本」と店舗リーダーの河又美予さんは話す。

コトラー氏の新刊、2位に

それでは、先週のベスト5を見ておこう。

(1)コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画冨山和彦著(文芸春秋)
(2)コトラーのリテール4.0P・コトラー、G・スティリアーノ著(朝日新聞出版)
(3)スマホ人生戦略堀江貴文著(学研プラス)
(4)日本の航空産業渋武容著(中公新書)
(5)お金の真理与沢翼著(宝島社)

(リブロ汐留シオサイト店、2020年5月11~17日)

1位が今回紹介した緊急提言。2位にはマーケティングの第一人者、コトラー氏とイタリア人研究者の共著。デジタル時代のマーケティング10の法則を提示した内容だ。3位には今年に入ってお金論、マンガ論、人生論と立て続けに新刊を出しているホリエモンこと堀江貴文氏の最新刊が入った。スマホを使って人生を変える知恵と情報と戦略を語っている。4位は機体開発から空港、整備まで航空に関連する産業の現状と課題を幅広く紹介した新書。カリスマ個人投資家としてよくテレビなどにも登場する与沢翼氏のマネー論が5位だった。

(水柿武志)

コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画

著者 : 冨山 和彦
出版 : 文藝春秋
価格 : ¥1,320 (税込み)

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