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「無料でお試し」に甘えなかった理由

市場の開拓では「不要不急」という見方が難敵になったという

市場の開拓では「不要不急」という見方が難敵になったという

事業の立ち上げから3年を迎え、ユニポスのサービスを導入した企業は約340社にまで増えた。斉藤氏は自ら営業にも赴いたが、軌道に乗るまでのプロセスで一番困難だったのは、ユニポスが顧客から「不要不急のサービスだと思われがちだった」(斉藤氏)ということだ。

組織のコミュニケーションの不具合は、業績の低迷や離職者数の増加、不祥事の発生など、「実害」が目に見える形で出てきてから、ようやく課題として認識されるケースが多い。そんな事情もあってか、営業先の人事担当者などからよく聞かされた言葉は「素敵な仕組みだけど、今導入しなければいけないのかというと、分からない」というものだった。

そうした顧客に実効性を感じてもらうため、ユニポスのようなSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス=インターネット経由でソフトウエアを提供するサービス)業界の営業で常套手段的に使われるのは、「とりあえず無料で試してもらう」というお試し利用だ。しかし、ユニポスはその型にはまることなく、「初めから有料」を貫いている。ここでも指針に据えたのは、「問う責任」と「説明する責任」だ。

「『普通はこうするから』という発想ではなく、顧客から理由を問われたときに説明できるかどうかが判断基準だと思います。僕らは『なぜ無料で試せないのか』と聞かれたら、『成果給』が発生する仕組みこそが、利用の動機付けになるし、喜びの実感にもつながるからだと答える。無料プランでハードルを下げる選択肢への誘惑がなかったといえばうそになりますが、それで顧客の期待に応えられなかった場合、ピアボーナスの市場自体を潰してしまうリスクがあると考えました」

商談にあたっては、自社の「発見大賞」が生んだプラス効果や、先行して導入した企業の成功事例について言葉を尽くして伝えた。導入を試みる企業に対しては、ツールを活用するうえでの疑問や困りごとを徹底的に聞き取って対応するカスタマーサクセス部門を充実させ、ゴールまで伴走する仕組みをつくった。

信頼し合える組織をつくることが、ユーザーに支持される新しい製品をつくることにもつながる。斉藤氏が学生時代に立てた「仮説」は、ピアボーナスの広がりという形で着実に証明されつつある。

(ライター 加藤藍子)

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