変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

リモートワークの効果はまだわからない

日本生産性本部が5月22日に公表した「第1回 働く人の意識調査」の調査は、多くの示唆を与えてくれました。

特にいくつかのメディアでピックアップされたのは、リモートワークに代表されるような働き方を今後も続けたいか、という設問への回答と、そのような働き方で仕事の効率はあがったか、という設問への回答のギャップです。おおよそ6割の人がリモートワークを続けたいけれど、同じく6割くらいの人たちが仕事の効率は下がっている、と答えたというものです。

そのような報道だけを見ると、リモートワークは怠け者を生む仕組みに見えてしまいます。

しかし実際のデータを読み込むと、それほど単純な判断はできません。今回のアンケートの対象者は1100人ですが、リモートワークの実践者は556人とおよそ半分です。

そして実は、そのうち461人はコロナ以前からリモートワークを実践していた人たちだということです。実際にコロナによって働き方が変わったと答えたのは95人。調査対象の10%に満たない人たちだったのです。

だから今回の調査結果だけをもって、リモートワークによって作業効率は悪化するけれど今後も続けたい人が多い、とは言えないことがわかります。より詳細な調査や分析は、今後の新たなデータの収集と分析を待つことになるでしょう。

現場を見るとメリットもデメリットも出ている

実際に多くの会社の現場を見てみると、リモートワークの影響は一言で言えるようなものでないことがわかります。

たとえばある会社では営業及び営業企画系の人たちはリモートワークで効率は下がらなかったけれども、管理系の人たちは経理情報や人事情報のセキュリティー問題もありリモートワークができない、効率どころじゃない、という話もありました。

また個人で完結し、かつ締め切りが明確でない仕事をしている人はリモートワークに対応できましたが、毎週決まった曜日の決まった時間までに専門性の違う複数人たちのチームで必ず同じレベルの成果物を作成する必要がある方々にとっては、デジタルツールによる共同作業では十分でない場合もあったようです。

様々な取り組みで独自の先進性を発揮しているサイバーエージェントの藤田晋社長のブログでは、5月25日の記事で「zoomなどのテレビ会議は増やす」「毎週月曜日を『リモデイ』として、全社員原則リモートにする」といった方針を示されていました。その前提で、6月1日から働き方を通常に戻す、ということです。

リモート会議の意義は大きく実感されたし、在宅勤務も毎日じゃなければ新鮮だ、ということなどが理由ということですが、その点について異論を示す方は少ないでしょう。

私たちは自社の組織風土や自社のビジネス、働く人たちの職種にあわせて、よい変化だけを取り込んでゆけばよいということがわかります。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedoNIKKEI SEEKS日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック