オンライン面接の新常識 「伝わりにくさ」を破るコツ
エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子
応募者側に少なくない、オンライン面接のメリット
次に、応募者側にとってのメリットをみていきます。
・気負わず一歩を踏み出しやすい
わざわざ企業を訪問するのではなく、自宅からオンラインですぐにアクセスできるということで、応募者にとっては心理的ハードルが下がるようです。応募意欲がそれほど高まっていなくても、気負うことなく、「まずは話をしてみよう」というカジュアルな感覚で企業と接点が持てる。つまり、一歩を踏み出しやすいといえます。
・資料やメモを見ながら話せる、パソコン(PC)で記録を残せる
対面の面接において、応募者はその場で資料やメモを見ることをしづらいものです。しかしオンラインであれば、相手の目に触れずに資料やメモを「ちら見」できます。実際、別のモニターでその会社のホームページを見ながら面接を受けた人もいました。
伝えたいことをメモに書き、「カンペ(カンニングペーパー)」として見やすい場所に張っておくなどすれば、「しまった、あれを言い忘れた」という後悔も防げるでしょう。
オンライン面接に慣れてくれば、面接官が話した事業内容や業務内容の説明をPCに入力したり、議事録を取ったりすることも可能です。さすがに対面でカタカタとPCで入力するのは気が引けますが、オンラインならやりやすいでしょう。
オンライン面接は「伝わりにくい」がネック
では、オンライン面接のデメリット・問題点はどこにあるのでしょうか。要素はさまざまですが、一言でまとめるなら「伝わりにくい」です。
私は転職エージェントという立場上、オンライン面接への同席も行っています。面接者と応募者のやりとりを画面上で客観的に見ていると、「うまくかみあっていない」「話が盛り上がらない」「応募者が不利になっている」と感じる場面もあります。
オンライン面接で発生しがちな問題と対策をお伝えします。
・背後の音が気になり、集中できない
私がオンライン面接同席中、実際に聞いた音に「飼い犬の鳴き声」「子どものはしゃぐ声」「車が通る音」などがありました。
「自宅」という環境では、抑えようにも抑えられない音もあります。それは面接する側も理解しているので、評価がマイナスになることはありません。しかし、音が気になって話の内容に集中できなくなると、伝えたいことがちゃんと伝わらない可能性があります。
まずは、なるべく雑音が入らない場所を選ぶこと。「音源」となるものをなるべく遠ざけておきましょう。窓を閉めておくのも忘れずに。できれば音を拾わないようにイヤホンやヘッドホンを使用するのが望ましいですね。開始時に「後ろで子どもが大声を出すことがあるかもしれません」などと一言伝えておくだけでも、あまり気にならなくなるものです。
・暗い印象を抱かれる
照明が暗い、あるいは逆光などの環境では、顔が暗く映ります。本当は明るい人柄なのに、それが伝わらず、暗い印象を持たれてしまうのはもったいないことです。
室内の光の加減は時間帯によって変わりますので、面接を受ける時間の部屋の明るさ、顔の映り方を事前にチェックしておきましょう。その上で、照明を追加したり、角度を変えたりしてください。いわゆる「女優ライト」と呼ばれる、顔を明るく映すライトを活用する手もあります。