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前の代の33回生まで灘高は東大合格者で日本一の高校だった。しかしそれを止めたのが鈴木氏らの34回生だった。

「なぜ東大に行かねばならないのか、東大に行きゃいいってもんじゃないだろ」という"論争"が巻き起こったのです。

まず何をやりたいのかを考え、では誰に学ぶのか、その先生のいる大学に行くべきじゃないかというわけです。例えば、物理学や心理学なら京都大学とか、近代経済学なら一橋大学とか、当時有名な学者や研究者がいた大学の名前が挙がったのです。高校3年生の時のホームルームで侃々諤々(かんかんがくがく)の議論になった。火付け役の生徒は灘中にトップで入学したリベラルな男でしたが、大阪市立大学に進学しましたね。

鈴木寛 東京大教授

鈴木寛 東京大教授

当時の先生たちも「好きにしたら」と意に介さず、東大至上主義の教師もいなかった。結果、東大受験者そのものが減りました。こんなところが「自由な灘」の真骨頂だと思います。開成高校に東大合格トップ高を譲り、以来現在まで39年連続で同校が首位を走っていますが、これを悔しがる先生や生徒は今の灘にも1人もいないと思います。

僕は東大に進学しました。法学部に行って官僚になりたかったからです。法学なら京大ではなく東大がいいだろうと。サッカー部での経験から僕にはマネジャー的な仕事があっているのではないかと思いました。他の同級生らも「おまえは官僚やろ」という感じで受け止めてくれていました。

現在の灘高生は8割強が理系、医学部志望が圧倒的に多いといわれます。僕の同級生は外務省など各省庁の局長クラスや大学教授、日本銀行理事やNTTなど民間企業の役員などもいる。もちろん医者も少なくないが、様々なキャリアの人間がいます。共通しているのは「人生は面白くてなんぼ」という価値観を持っていること。今も同級生たちとは仲が良く、互いに刺激し合っています。

(代慶達也)

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