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日本経済新聞電子版に連載したビジネスノンフィクションをドラマ化した「ネット興亡記」。ネットバブル崩壊、固定観念や規制の壁、組織の解体・消滅やスタートアップならではの成長痛――。登場した経営者ら本人の言葉には、逆境をはね返すための示唆も少なくない。多くの挫折や困難に直面しながらそれを乗り越え、時代を切り開くビジネスやサービスを生んできた彼らの軌跡にデジタル時代のサバイバル術を学ぶ。
<<(1)ホリエモンに嫉妬 サイバー藤田氏の「開き直る力」
ドラマ「ネット興亡記」に登場するUSEN-NEXT HOLDINGSの宇野康秀社長。サイバーエージェントの藤田晋社長の起業を後押しし、その後にまな弟子が陥った窮地を救うため一肌脱いだ真相が明かされる。ライブドア事件で堀江貴文氏が逮捕された後にライブドアの株式を、周囲の反対を押し切って個人で買い取った逸話もある。六本木ヒルズにオフィスも住居も構えたこともないのに「ヒルズ族の兄貴」と呼ばれるようになった。
ただ起業家としての歩みは波瀾万丈(はらんばんじょう)だ。あえていばらの道を選ぶこともあった。リーマン・ショック後には手塩にかけたビジネスを手放し、自らの会社を追われる辛酸もなめた。何度も挫折からはい上がっていくレジリエンス(逆境から立ち直る力)を磨いた。
――1989年に25歳で起業し、それに続く若い起業家に惜しまずバックアップしてきています。
「当時、シリコンバレーに若き経営者が集まって、どんどん新しい会社が生まれてくるという動きがあったけど、日本ではまだまだ少なかった。若い人が経営者を目指し会社を大きくするんだという夢を持つ社会にしないといけないという危機意識を持っていました。このままだと日本に古い企業ばかりが残って、新しい会社が生まれてこないという国になってしまうんじゃないかなと」
――そのひとりがサイバーエージェントの社長、藤田晋氏。当初から全面的にサポートしていました。
「起業してみたいという人は周りにも多かったのですが、その多くは夢として、できたらいいな、という風に漠然としか思っていない。藤田社長はとにかく、自分は早く起業したいので、1年目の仕事はすぐにでもこなしたいと言っていました。誰よりも早く会社に来て、みんなが出社する頃には営業に向かっていました。口で語るより、行動して自分の力をつけていくという姿を見て、本気なんだなと感じていました」
どうせ起業するなら成功してほしい
――新入社員の藤田氏に対して当初は70%出資し、経営が軌道に乗れば藤田氏に株を売る、という破格の条件を申し出ました。あまりに甘い約束に藤田氏もとまどったそうです。
「彼が起業すると言った時に、他の人が社長になって、自分は役員になるというような話をしていました。そうではなく本当に起業家になるなら、自分が社長として、リーダーとしてやるべきなんじゃないかと。彼は十分な才覚があるんじゃないかと思いました。だから、僕を信じてと。自分が資金的な負担をするので、リーダーとしてやってほしいという思いを伝えました」
「どうせ起業するなら成功してほしい。私自身も25歳で起業して遠回りもしました。そういう時間に5年くらいを費やした。その余計な時間をすっ飛ばして欲しい。資金を出すことで色々なものをショートカットできると思って提案しました」
","――藤田氏が壁にぶつかった時にどう行動すべきか、というアドバイスをしましたか。
「苦境に立たされる時というのは必ずやってくる。ちゃんと乗り越えられるような強い自分の意志を持つこと。そして、その仲間を作っていくこと。そうやって、1回失敗したら終わりということではなく、何度も何度も挑戦できるようなやり方をすべきではないか。そういう話をした記憶があります」
――自らも波瀾万丈の起業家人生を歩んでいます。山あり谷あり、大きな谷もありました。「起業しなければ良かった」と頭によぎることはないのでしょうか。
「起業を後悔したことはないですね。ただ、いろいろな選択肢のなかで、あえていばらの道を歩むようなことをしたことも何度もありました。なんで、自分はそういう道ばかりを選んだのかなと思ったことはありますね」
――父親が創業した大阪有線放送社を継いだ際、無断で電柱にケーブルを敷いていた違法利用の解消に奔走します。
「苦しい思いもしましたけれども、間違ったことをやっているわけではない。正しいこと、世の中のためのことをやっている。社員のためのことをやっている、お客さんのことをやっている。そういう信念でやってきました。結果、ちゃんと正しい道に戻れました。悪いことはしていないのに、苦しい局面にある。そういうのは強い信念に戻って突き進めば、また道が開けるはずだという風に思っていました」
負の遺産が生きた資産に
――電柱の違法問題を解消した先に、新たなチャンスの到来を見ていました。晴れて合法状態となった有線放送の回線を使ってインターネットの光回線を敷こうという構想です。
「米国を見ていてインターネットが世の中を変えるのだろうなと思った時、日本のネット環境が非常に脆弱だった。これが大きなネックになるだろうなと感じていた。放送用のケーブルが全国に張り巡らされている。これを活用すれば高速の常時接続環境がつくれるんじゃないか、ということを思いついた。『負の遺産だったものが生きた資産になる』と」
「(電柱問題を)乗り越えれば希望の光があるはず。実際、電柱の整理問題でいろいろやりながら、ケーブルを使って高速インターネットをやる技術を模索し始めていました。(音声の)ケーブルを使うのではなく、電柱にケーブルを張っている場所を使って光ファイバー回線を併設するというアイデアを思いついた。FTTH(光回線)という、世界でも類をみない高速インターネット回線ができる。電柱問題が解消した先の未来にワクワクしていたというのもありました」
――光ファイバーのブロードバンドではソフトバンクといったん提携しましたが決別。その後、ソフトバンクが光ではなく電話線を使う低価格の「ADSL」で攻勢をかけ、ライバルとして立ちはだかります。
「正直、ショックでしたね。光ファイバーに一足飛びだと思っていました。高速インターネットの必要性、重要性を理解していただいた孫(正義)さんだったので、いったん(速度の劣る)ADSLに行くのは致し方ないかもしれないけど、光ファイバーでやればもっとスピーディーに変わっていくのに、と。光ファイバーを広げるのにブレーキがかかる。そういう意味ではショックでした」
","――日本のADSLの草分けである東京めたりっく通信の買収を巡っても因縁がありました。
「買収の打診をもらった時、ADSLという技術はいらなくなると判断していた。ただ、(光回線への)『つなぎ』として使えるかもしれないし、他の事業者がADSLを広げることが、我々にとってはブレーキになる。だから『ぜひ一緒にやりましょう』と話していました」
「週明けになると『ソフトバンクに買われることになったので、ごめんなさい』と言われたんですね。孫さんの即断即決がすごいと思いました。(東京めたりっくには)『週明け月曜日の朝一に来てください』と伝えていたんですが、(ソフトバンクとの交渉は)土日に動いてしまったということでした。なんであの時、『明日来てほしい』と言わなかったのかと後悔しましたね。ソフトバンクとも交渉していると聞いていれば、もう少し違う動きをしたかもしれないが、考えが及ばなかった。反省ですね」
それぞれの考えや熱意を刺激に
――宇野さんの歩みをたどると、いろいろな起業家との交流がありました。
「人と人のつながりが大事だということを、実はそこまで意識していないんです。ただ、世の中を変えていきたいだとか、新しい時代をつくりたいという人は、たぶん自然につながってきているのではないでしょうか。そんなに意識しなくても気づいたら話をする関係になっていることが多い。結果的に、それぞれが持っている考えとか熱意とかを刺激として受け止めて、自分たちの事業に生かそうと、そういう相乗効果に働いているんじゃないかと思います」
――それが「ヒルズ族の兄貴」と呼ばれるゆえんでしょうか。
「六本木ヒルズには住んだことも、オフィスがあったこともないので、どうしてそういう名前になったのか分からないですが……。藤田社長、堀江(貴文)さんが注目されていた時、ちょうど10歳年長の一世代違う経営者ということで、そういう言われ方をしたのかなと。少しだけ先輩的なものの見方をできたのかもしれません」
――今、若い起業志望者に「兄貴」として送るアドバイスはありますか。
「起業したいと思う理由をちゃんと考えてほしいと思います。起業家というのは、かっこよく見えるかもしれないが、決してそれだけではない。本当にみんな泥臭い思いをして、なんとかそれをなし遂げてきた。その時に何の喜びがあるのか。それは自分が広げたいと思った事業が、ちゃんと広がったからなのか。自分がやりたいと思ったサービスが、ちゃんと広がったからなのか。それが喜びであってほしいと思っています。起業家になるというのは、ある意味で簡単なこと。起業してうれしい、上場してうれしい、お金が入ったからハッピーだった。それだけ(が目的)では起業というのはできない」
――いま56歳。60歳を迎えるにあたって次の夢は。
「これまで起業家としていろいろなことにチャレンジすることができました。結果、いろいろなサービスを世の中に広げることができ、幸福であったなと思います。むしろ、これから起業していく、事業を広げたい人たちにいろいろな場所や環境を作っていくことをしたい。新しい起業家連合みたいな仕組みです。世の中を良くしたいという同じ思いでやっていけるような、そういう会社を作りたいと思っています」
<<(1)ホリエモンに嫉妬 サイバー藤田氏の「開き直る力」
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USEN宇野氏が磨いた「立ち直る力」
「ネット興亡記」に学ぶサバイバル術 (2)
日本経済新聞電子版に連載したビジネスノンフィクションをドラマ化した「ネット興亡記」。ネットバブル崩壊、固定観念や規制の壁、組織の解体・消滅やスタートアップならではの成長痛――。登場した経営者ら本人の言葉には、逆境をはね返すための示唆も少なくない。多くの挫折や困難に直面しながらそれを乗り越え、時代を切り開くビジネスやサービスを生んできた彼らの軌跡にデジタル時代のサバイバル術を学ぶ。
<<(1)ホリエモンに嫉妬 サイバー藤田氏の「開き直る力」
ドラマ「ネット興亡記」に登場するUSEN-NEXT HOLDINGSの宇野康秀社長。サイバーエージェントの藤田晋社長の起業を後押しし、その後にまな弟子が陥った窮地を救うため一肌脱いだ真相が明かされる。ライブドア事件で堀江貴文氏が逮捕された後にライブドアの株式を、周囲の反対を押し切って個人で買い取った逸話もある。六本木ヒルズにオフィスも住居も構えたこともないのに「ヒルズ族の兄貴」と呼ばれるようになった。
ただ起業家としての歩みは波瀾万丈(はらんばんじょう)だ。あえていばらの道を選ぶこともあった。リーマン・ショック後には手塩にかけたビジネスを手放し、自らの会社を追われる辛酸もなめた。何度も挫折からはい上がっていくレジリエンス(逆境から立ち直る力)を磨いた。
――1989年に25歳で起業し、それに続く若い起業家に惜しまずバックアップしてきています。
「当時、シリコンバレーに若き経営者が集まって、どんどん新しい会社が生まれてくるという動きがあったけど、日本ではまだまだ少なかった。若い人が経営者を目指し会社を大きくするんだという夢を持つ社会にしないといけないという危機意識を持っていました。このままだと日本に古い企業ばかりが残って、新しい会社が生まれてこないという国になってしまうんじゃないかなと」
――そのひとりがサイバーエージェントの社長、藤田晋氏。当初から全面的にサポートしていました。
「起業してみたいという人は周りにも多かったのですが、その多くは夢として、できたらいいな、という風に漠然としか思っていない。藤田社長はとにかく、自分は早く起業したいので、1年目の仕事はすぐにでもこなしたいと言っていました。誰よりも早く会社に来て、みんなが出社する頃には営業に向かっていました。口で語るより、行動して自分の力をつけていくという姿を見て、本気なんだなと感じていました」
どうせ起業するなら成功してほしい
――新入社員の藤田氏に対して当初は70%出資し、経営が軌道に乗れば藤田氏に株を売る、という破格の条件を申し出ました。あまりに甘い約束に藤田氏もとまどったそうです。
「彼が起業すると言った時に、他の人が社長になって、自分は役員になるというような話をしていました。そうではなく本当に起業家になるなら、自分が社長として、リーダーとしてやるべきなんじゃないかと。彼は十分な才覚があるんじゃないかと思いました。だから、僕を信じてと。自分が資金的な負担をするので、リーダーとしてやってほしいという思いを伝えました」
「どうせ起業するなら成功してほしい。私自身も25歳で起業して遠回りもしました。そういう時間に5年くらいを費やした。その余計な時間をすっ飛ばして欲しい。資金を出すことで色々なものをショートカットできると思って提案しました」
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