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日本経済新聞電子版に連載したビジネスノンフィクションをドラマ化した「ネット興亡記」。ネットバブル崩壊、固定観念や規制の壁、組織の解体・消滅やスタートアップならではの成長痛――。登場した経営者ら本人の言葉には、逆境をはね返すための示唆も少なくない。多くの挫折や困難に直面しながらそれを乗り越え、時代を切り開くビジネスやサービスを生んできた彼らの軌跡にデジタル時代のサバイバル術を学ぶ。
<<(3)ネットの扉を開いた男 I I J 鈴木氏の「貫く力」
巣ごもり需要で好調なフリマアプリを運営する「メルカリ」。第3話はメルカリの山田進太郎社長が自分の持つ可能性に丁寧に向き合いながら、世界で勝負するビジョンを描くまでのストーリーを描いている。「得意としていたものがなく悶々(もんもん)としていた」という学生時代をすごし、起業家の道も一度はあきらめた。自分にはない他人の良さを最大限に生かす。劣等感、コンプレックスでもない視点をどう確立したのか。自らの空白を埋めて目的を達成する「頼る力」を学ぶ。
――学生時代は才能に自信を持てず思いあぐねていたと聞いています。
「自分がどういう風に価値を出していくのか。稼いでいくのかも含めて、どうやって生きていこうということを考えていました。『これが得意』というものがなく、悶々としていました。普通のサラリーマンになったとしても、良い価値を出せず、良い仕事ができない。人と違う価値を出さないといけないとすごく思っていました」
「僕はすごく記憶力があるわけでもない。社交的なわけでもない。プレゼンテーションがうまいわけでもない。本当に、地味で目立たない学生。中学、高校、大学ですごした人に聞いてもらえば、みんな同じ回答をするんじゃないかと思う」
――「自分探し」をしていたと周りから見られていたようです。
「意識したというより、見つかっていなかったので、そうせざるを得なかった。どうしようかな、というのはずっと思いとしてあった。色々なことを試しては、これじゃないな。起業もある意味、大学一年生で『これじゃないな』と。色々と試しまくっていました」
孫正義氏との出会い
――大学在学中にソフトバンクグループの孫正義会長兼社長との出会いがありました。
「孫さん、ワタミ創業者の渡辺美樹さんなどの実業家が40歳代前後であって、ベンチャー三銃士みたいな存在でもありました。ものすごいエネルギッシュ。人を巻き込んでリーダーシップをとる。話もうまくてパッションもある感じで、こういうリーダーシップは自分にできないなと思った。当時は18歳くらい。これから20年ぐらいで、どうやってそこまで到達するのかイメージが沸かなかった」
――当時の孫さんとほぼ同じ年齢になり、メルカリを指揮しています。
「自分で起業して分かったのは、色々なスタイルがあっていいということです。こういう風にならなきゃいけないと思う必要がなかったのだなと。僕自身はその頃にインターネットに出会って、ウエブサイトを作り始めてプログラミングを覚えていく流れで、好きなことをやっていったら、それが技術のコアになりました。デザイナー、プログラマー、ビジネスなど色々な人と仕事をするようになった。ナチュラルにここにきた感じがします」
","「たぶん孫さんも、自分がやりたいこと、やるべきことをやったら、ああなったのだと思う。すごく尊敬できる部分、見習いたい部分もあるけど、自分がすべてをフォローしないといけないものではない。他の経営者も含めて、学べるところは学んで、自分の会社の経営に生かせるかを考えている。『ああなりたい』というのはないですね。自分のスタイルをどう拡張していくか。それが通じなくなったら、どう再構築するか。どんどん変わっていくことが重要だなと思います」
孫さん、三木谷さんと違うやり方
――楽天に就職する選択肢もありました。ただ内定を断って、あきらめた起業家の道を歩むことになります。
「インターネットに出会って、大学4年のときに楽天に内定をもらって、内定者として働きました。三木谷(浩史会長兼社長)さんもエネルギッシュで、リーダーシップが強い。ただ、当時のビットバレーを見渡すと、エンジニアリングができて技術で引っ張ったり、プロダクトセンスが良かったり、色々なタイプの起業家がいた。しかも僕と変わらない年齢で。スタイルはなんでもいいのだなと思った」
「内定者としてフリマオークションを数人で作るチームに入れてもらいました。スクラッチからサービスまで一通り作る経験ができた。色々な起業家に出会って『これだったら新しいサービスを作ったり、色々な仕事を受けたり自分でできる』と。今になってみれば、若気の至りです。大学を卒業してフリーランスとしてひとりでやっていた。そこで色々な人達と会って、仕事をしていくなかで、自分のスタイル、自分のやり方、孫さん、三木谷さんと違うやり方を確立していった」
――ソーシャルゲーム会社のウノウを立ち上げ、米大手であるジンガに売却しました。世界で活躍できる近道でありましたが、結局1年ほどで会社を去ることになりました。
「僕自身はけっこうやれることをやってきた。ジンガで学べたことも大きかった。『OKR』など目標管理の仕組みやデータをどう扱うか、モバイルの知識も含めて勉強になった」
自分ができることをやらないと
「売却したときに60人くらいのスタッフがいました。その人たちに『世界で使われるものを作ろう』と言って仲間にしておいて、自分が去ることになってしまって、申し訳ないなという気持ちがかなりありました。僕自身は、走り続けていた部分があったので、1年くらい旅行したいと」
――世界一周の旅からメルカリが生まれることになります。
「子供が働いているのが印象的だった。ボリビアからチリに行ったときも(ガイドの)助手席には子供がずっと座っていました。みんな豊かになろうとしているけど全世界が豊かになるなんて現実的には難しい。資源も限られている。自分ができることをやらないといけないと思って帰った」
","「その時には全くアイデアがなかったが、日本ではスマホが普及していて、(モノを)売買するようなフリマアプリも出始めてきていました。これをうまく使えばこういう人たちが、もっとモノを大切に使って、みんなが先進国みたいな豊かさを享受できる可能性が多少できるのではないかなと」
――共同創業者を募ってメルカリをスタートしました。
「ウノウを始めた時も共同創業者がいた。すごく優秀なエンジニアにジョインしてもらった。うまくいかなかった時期も長かった。モバイルのゲームを作り始めてうまくいったが、デザイナーも含めて、自分だけでやったという感覚より、会社にジョインしてくれた優秀な人達が一緒になってモノを作ったからこそ成功できた」
自分だけができること以上のことを
「次に会社をやるときも、自分だけができること以上のことをやりたいと思っていた。一緒にやってくれる仲間は、レバレッジをかけるために重要な要素と思っていました。(共同創業に)迷いはなかった」
――メルカリは「人材のブラックホール」と呼ばれるほど優秀なタレントが集まります。
「僕は人を生かすのが得意なのかもなと思っている。その人が得意なこと、やりたいことを、よく聞いた上で、それを生かして最大限に成果が出せるようにしています。周りの人が活躍できる状況をどう作るかをすごく重視している」
「自分にないものを持っている人がいたら、その人の能力を生かせるような状況を作り出す。人は人の役に立つとうれしいというのがあって、それによってどんどん人の輪が広がり、僕自身ができないことでも人を介してできるようになっていく。そういうイメージ、世界観でやっているつもりです」
――日本だけでの成功にこだわらず、世界を意識して経営しています。
「サービス自体はグローバルの方が可能性があるとずっと思っていたから規定通りという感じですね。日本だけでうまくいっても、海外で同じようなものが出てくると、資金力で(日本に)来ちゃうかもしれない。日本だけでガッチリやるというのは魅力的な選択肢でなかった」
日本を落としても米国で勝つ
「日本を落としても、アメリカでめちゃめちゃうまくいけば、そっちのほうがいいよねというコンセンサスがありました。米国で勝つというのは、それはいきなりボスを倒すようなもの。それ以外の国は、米国に比べれば楽だと思う。そういう意味ではいきなり一番高いハードル。大変だと思いますけど」
――日本のテックカンパニーでは成功例がない未踏の領域ともいえます。
「世界のどこに行ってもメルカリが使われている状態を作ることが、会社を作ったときの目標でもある。僕らは最初の例になろうと全力を尽くしていますし、僕らがうまくいかなかったとしても、その屍(しかばね)を越えて他の会社が成功していく感じにしたい。最近はなかなか海外で積極的に出て行って成功している会社が少ない。僕らはそこを目指したいなと思うし、そういう会社がたくさん増えてくると思っています」
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「ネット興亡記」に学ぶサバイバル術 (4)
日本経済新聞電子版に連載したビジネスノンフィクションをドラマ化した「ネット興亡記」。ネットバブル崩壊、固定観念や規制の壁、組織の解体・消滅やスタートアップならではの成長痛――。登場した経営者ら本人の言葉には、逆境をはね返すための示唆も少なくない。多くの挫折や困難に直面しながらそれを乗り越え、時代を切り開くビジネスやサービスを生んできた彼らの軌跡にデジタル時代のサバイバル術を学ぶ。
<<(3)ネットの扉を開いた男 I I J 鈴木氏の「貫く力」
巣ごもり需要で好調なフリマアプリを運営する「メルカリ」。第3話はメルカリの山田進太郎社長が自分の持つ可能性に丁寧に向き合いながら、世界で勝負するビジョンを描くまでのストーリーを描いている。「得意としていたものがなく悶々(もんもん)としていた」という学生時代をすごし、起業家の道も一度はあきらめた。自分にはない他人の良さを最大限に生かす。劣等感、コンプレックスでもない視点をどう確立したのか。自らの空白を埋めて目的を達成する「頼る力」を学ぶ。
――学生時代は才能に自信を持てず思いあぐねていたと聞いています。
「自分がどういう風に価値を出していくのか。稼いでいくのかも含めて、どうやって生きていこうということを考えていました。『これが得意』というものがなく、悶々としていました。普通のサラリーマンになったとしても、良い価値を出せず、良い仕事ができない。人と違う価値を出さないといけないとすごく思っていました」
「僕はすごく記憶力があるわけでもない。社交的なわけでもない。プレゼンテーションがうまいわけでもない。本当に、地味で目立たない学生。中学、高校、大学ですごした人に聞いてもらえば、みんな同じ回答をするんじゃないかと思う」
――「自分探し」をしていたと周りから見られていたようです。
「意識したというより、見つかっていなかったので、そうせざるを得なかった。どうしようかな、というのはずっと思いとしてあった。色々なことを試しては、これじゃないな。起業もある意味、大学一年生で『これじゃないな』と。色々と試しまくっていました」
孫正義氏との出会い
――大学在学中にソフトバンクグループの孫正義会長兼社長との出会いがありました。
「孫さん、ワタミ創業者の渡辺美樹さんなどの実業家が40歳代前後であって、ベンチャー三銃士みたいな存在でもありました。ものすごいエネルギッシュ。人を巻き込んでリーダーシップをとる。話もうまくてパッションもある感じで、こういうリーダーシップは自分にできないなと思った。当時は18歳くらい。これから20年ぐらいで、どうやってそこまで到達するのかイメージが沸かなかった」
――当時の孫さんとほぼ同じ年齢になり、メルカリを指揮しています。
「自分で起業して分かったのは、色々なスタイルがあっていいということです。こういう風にならなきゃいけないと思う必要がなかったのだなと。僕自身はその頃にインターネットに出会って、ウエブサイトを作り始めてプログラミングを覚えていく流れで、好きなことをやっていったら、それが技術のコアになりました。デザイナー、プログラマー、ビジネスなど色々な人と仕事をするようになった。ナチュラルにここにきた感じがします」
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