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日本の労働基準法では、月々支払う賃金の減額については制限を加えていますが、夏冬の賞与については就業規則で規定することで大幅な減額を可能にしています。

従業員側が夏冬賞与について、経営状況によって大幅に変動するものだ、と理解していれば、仮に大幅に減額されたとしても影響は少ないでしょう。

けれども多くの日本企業では、賞与について昨年対比で考えることが多いのです。そしてもらう側も「去年は給与の何カ月分が出たから、来年もそれくらいは出るだろう」と考えてしまいます。私の知人でも、19年末の時点で、20年夏の賞与一括払いで家電製品を購入した人がいます。19年末といえば、20年のオリンピック景気を見越して多くの人たちが先行きの明るさを信じていました。誰も彼を責めることはできないはずです。

給与などについての今後の予測

より具体的な数値を、賃金構造統計基本調査に基づく計算で、推測してみましょう。

19年度のデータに基づくと、従業員100人以上の会社で、役職者の平均年収は約810万円で、賞与の割合はそのうち25%ほどになる202万円でした。非役職者の平均年収は496万円で、賞与の割合はそのうち20%ほどになる98万円ほどでした。

18年から19年にかけて、所定内給与=いわゆる月給は0.5%増えています。その一方、残業代や各種手当を示す所定外給与は0.7%減少しました。その結果、月給としては0.4%増額しています。賞与については2.1%増えており、年収ベースでは0.7%増加しました。仮にコロナショックが起きていなければ、上記の傾向が続いた可能性が高いでしょう。ですからこの数値をベースに考えてみます。

一方で、コロナショックの今後の影響はまだ確実にはわからないので、仮にリーマン・ショック時の数値を当て込んでみます。

08年から10年にかけての調査数値は次のようになります。

08年もあまり良い数字ではないのですが、09年には給与1.5%、賞与が2.9%減少しています。興味深いのは20%ほどの所定外給与の減少です。おそらく残業代が減ったことの影響だと思われます。

10年には月給は1.5%分戻るのですが、賞与が11%減少しています。日本の夏冬賞与は企業業績の遅行指標なのでこのような傾向になります。

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