ジョブ型雇用はサラリーマンの働き方をどう変えるのか
ミドル世代専門の転職コンサルタント 黒田真行
ジョブ型雇用時代にどう向き合うべきか?
この環境変化を受けて、ビジネスパーソンはどう向き合えばいいのでしょうか。時代の揺り戻しはないということも踏まえて、私はこの状況を基本的に前向きな変化ではないかととらえています。少なくともポジティブに受けとめたほうが得策であると思います。
最も大きな理由は、メンバーシップ型雇用のジョブローテーションから解放されて、会社に振り回されないキャリアが積める可能性が高まることにあります。
総合職という名のもとに、職種や勤務地など、会社の都合で変えられてしまうリスク(不本意な人事異動によって家族を犠牲にしてきた人や転職を余儀なくされてきた人も多いのではないかと考えています)、また、なんでも屋ではあるが、自分が何屋さんなのかを明確に言えないキャリアのリスクから解放されるメリットは、想像以上に大きいのではないかと思います。
逆に言えば、自分の意思を持つことが必要になりますし、自立性を持つことが前提となります。しかし、自らのキャリアのイニシアチブを自分の手に取り戻すことができる価値は、とても魅力的なことだと思います。
会社員という立場でありながら、会社を「顧客」として、自らのプロフェッショナルスキルを提供し、その対価としての報酬を得る個人事業主に近づくことになります。球団とプロ野球選手の関係に近いですね。
個人とはいえ、一つの事業主に近づくわけですから、「株式会社自分」という法人格で、中長期の経営戦略を描いておいたほうがいいと思います。自社の競争優位性、自社が目指すビジョン、顧客への提供価値。企業と同じように、これらの戦略を描き切れれば、自らの付加価値を高める土台固めができるようになります。
この観点を参考にして、自分の強みを整理し、把握したうえで、ジョブ型雇用がいつやってきても戦えるよう、今後のキャリア戦略構築を進めていただければと思います。
※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。
