新規事業で中途採用右肩上がり ほしいのはプロ人材

「中途採用は計画通りに進めている」というソフトバンクの杉原倫子さん
コロナ禍を受けて中途採用を縮小する向きもあるものの、長期的にみて、企業の人手不足傾向は続き、人材流動化のうねりは続く見通しだ。転職がビジネスパーソンの一般的な選択肢となるなか、企業はどういった基準で選考しているか、どういった人材であれば活躍できるとみているか。転職サイト「日経転職版」が有力企業の人事担当者に直接聞くシリーズ。第1回はソフトバンク人事本部の人材採用部部長の杉原倫子さんに話を聞いた。
――中途採用の状況について教えてください。
「『Beyond Carrier』というスローガンを掲げ、通信事業に加え、様々な新規事業を立ち上げており、ここ数年、中途採用数は右肩上がりで増えています。昨年度の中途採用数は約500人、今年度は650人程度を計画しています。選考はすべてオンラインに移行していますが、それ以外は新型コロナウイルスの影響を受けることなく、当初予定通りの採用活動を継続中です」
「積極採用の背景には、人工知能(AI)、ロボット、セキュリティー、電力、コンテンツ、Eコマースなどの成長事業を具体化できる人材、特にプロフェッショナル人材が必要という認識があります。募集しているポジション数は約170。半数以上を占めるエンジニア職の場合、先端技術エンジニアやクラウドエンジニアでは即戦力人材を、開発・保守運用エンジニアでは20代の若手も積極採用しています。そのほか、営業、マーケティング、企画といったビジネス、クリエーティブ、コーポレートの部門も含め、常時170程度のポジションで募集しています」
――どういったタイプの人材を求めていますか。またどういった人材であれば活躍できそうですか。
「ポテンシャル採用をしている一部のポジションを除くと、『他社で実績がある人』『新規事業に必要な経験・スキルを持っている人』を求める傾向が強いです。社内の人間にはない知見やネットワーク、専門性があるからこそ、中途採用する意義があるわけです。当社は非常に多岐にわたる事業を手がけているので、様々なバックグラウンドを持った人を受け入れる素地がありますが、ソフトバンクという企業、事業に興味がある人、魅力を感じてくれている人に応募してもらえるとうれしいです」
「多くの事業を手がけているため、すべての事業がずっと成長していくとは限りません。担当する事業が伸びるかもしれないし縮小するかもしれない。いずれにせよ、事業環境の変化が早い世界に身を置くことになる可能性が高いので、変化に対応できる人、柔軟性がある人、でないと厳しいかもしれません。過去にとらわれず、現在の最適解を探せる人やベンチャー気質を持ち合わせている人が活躍しやすいかと思います」