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機械学習ロボットで草創期のAIを研究

東京大学工学部へと進学したのも、「そんな父の仕事ぶりを見て、僕も技術を学んで世の中のために役に立ちたいという思いを強めた面がありました」と藤原氏は話す。志を胸に進んだ東大では、今の人工知能(AI)につながった「機械学習」の研究に取り組んだ。

大学に入ると、当時出回りはじめたマイクロコンピューターを使ったプログラミングにのめり込んだ。「ベーシックなどの言語でプログラムを打ち込んで簡単なゲームを動かすことに熱中していました。『なんて面白いんだ!』とプログラミングに開眼。東大3年生になって工学部の専攻を決める際には応用物理学科に入りました」

研究対象は、「機械学習アルゴリズムをロボットで表現する」ことだったという。今、盛んに導入が進んでいるAIの先駆けとなった技術だ。「今とはマシン(コンピューター)の性能が何けたも違うので、ほんの初歩的なものでした」と藤原氏は説明するが、その内容は未来を確かに感じさせるものだった。

ピンポン球を投げることができる簡易なロボットを製作。そのロボットがどのように動き、どのようなタイミングでピンポン球を放すと、ピンポン球が最も遠くへ飛ぶかを研究したという。

東大では初期のAIを研究していた

東大では初期のAIを研究していた

最初はピンポン球を載せられるスプーンを、簡単なアーム(腕)の先につけて放り投げた。アームのスナップの利かせ方次第で、どのような動きが最も効果的かをAIが学んでいく。次には、股関節のある4本足のロボットを試作。ピンポン球を2本の指で挟むよう、アームを改良した。

「卒論を書くために、ロボットが学習する様子を、泊まり込みで調べるのですが、そのうちロボットは『振りかぶってから投げたほうが遠くに飛ぶ』ということを学び始めたんです。ほかにも反動をつけて投げるとか、投げたふりをしてアームがしなった後で球を離したほうがよいとか。ロボットがどんどん学習していくので驚きました」

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