リーダーの本質、コロナで浮き彫り 台湾や独が指導力
人事のプロ、八木洋介氏に聞く(1)
「ストーリー」を語ろう、ハートに訴えよう
特に危機にあたっては、リーダーは正解がない問題に取り組まねばなりません。ロジックだけでは対処できない事態です。だからこそ、リーダーはストーリーを語り、人々のハートに訴えることが大切になります。理性は当然必要ですが、それだけでは足りないのです。不安に悩む人々にメッセージが届くには、感情の力が大事なのです。
最善を尽くして導き出したリーダーの方針でも、絶対正しいとは言えない。それでも、我々はそれを頼りに未来へと進まねばならない。だからこそ、ストーリーという思いを語ることによって、周囲を励まし、動かしていくことが必要です。
最近、見ることを止めた大きなポータルサイトがあります。皆で正解がない不安を生きているにもかかわらず、揚げ足取りのような文句ばかり、根拠が薄弱な批判ばかりが増殖しているからです。自身の判断のよりどころに悪影響を与える懸念を強く感じたのです。負の感情に巻き込まれず、正しく前向きな方向へ人々を導く。そんなストーリーを描き、語るリーダーこそ、今の時代に大切だと感じます。
リーダーというのは、「行動する」人です。最近で印象的だったのは、大阪府の吉村洋文知事です。休業要請や独自基準の設定など、自身の言葉とともに様々な行動を起こされました。正解ばかりではないでしょう。影響を受ける業界や個人からすれば、とんでもないという意見もあるでしょう。しかし、その時点では正解がない訳です。批判を引き受ける覚悟で迅速に行動し、人々に届くメッセージを発する。そして誤りは正す。そんな「本物」のリーダーとしての振る舞いを感じられました。
(聞き手は村山浩一)
