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危機感を持ちながらゴールを定める

私たちはどこかの会社に就職するとき、その会社が倒産するとか、いきなり解雇されることなどをあまり想像しません。基本的には前向きな気持ちで就職し、活躍しようとモチベーションを高めるでしょう。

けれども経営者は、違います。

会社を立ち上げ、売上高が伸びている状況でも「突然取引を打ち切られるかもしれない」「従業員のミスなどで損失が出るかもしれない」「予想もしないようなとんでもない事故が起きて資金繰りができなくなるかもしれない」という危機感を常に持っています。

そして仮にそのような事態になったとしても会社を存続させるための手を打とうとします。現金残高を多めに確保するために資金繰りに余裕のあるうちから銀行借り入れを増やしたり、既存事業がうまくいっていても新規事業への投資を進めたり、エース級の従業員をあえて現場から外して教育担当にして従業員のレベルを引き上げたりします。

仮に私たちが就職するときや転職するとき、経営者と同じような危機感を持ち、ゴールを定めてみるとどうなるでしょう。

この会社が倒産するとしたらどんな状況だろう。

自分をはじめとする従業員が解雇されるとしたらどんな状況だろう。

その可能性があるとするなら、今打てる手はなんだろう。

与えられた仕事は目の前のことをしっかりこなすことだけれど、果たしてそれだけでよいだろうか。

危機に際しても動かないのが人の常、ということをこの連載74回目の記事「定年の日に固まらない 人事変革に勝つ社員5つの行動」に記しました。

危機にあって動かないということは、自信に満ちていたり前向きに生きている、ということではなく、今起きていることを理解できていないだけなのかもしれません。現状を理解するためには、自分自身が置かれている状況を俯瞰(ふかん)的に見なくてはいけません。そして何を目指すべきかを決めなければいけません。

そのために、経営者の視点を持つことはとても有効なのです。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。高度人材養成機構理事リーダーシップ開発センター長。

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