証券会社がなくなる 業界に芽生えた変化とこれから
紀伊国屋書店大手町ビル店

新書コーナーの棚端にある平台に2列で展示する(紀伊国屋書店大手町ビル店)
ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。
次の時代に存続する証券会社とは
その本は浪川攻『証券会社がなくなる日』(講談社現代新書)。著者の浪川氏は電機メーカー勤務を経て記者になったベテラン経済ジャーナリストで、「Voice」「週刊東洋経済」などで活躍した後、フリーで金融分野を中心に取材活動を続けている。最近は銀行の将来に警鐘を鳴らす著作が続いていたが、今回はその対象を証券会社に据え、最前線の動きを追いながら、次の時代に存続する証券会社の姿を考察している。
「はたして、日本の証券業界はどのように変わっていくのか」。この疑問が本書の出発点である。まず第1章では、前提として、改革に取り組もうとしない証券業界の実態を整理する。続く第2章では、ダイナミックな変容を続ける米国の証券業界の動きを追いかける。「すべての人に投資へのアクセスを」を掲げて業容を拡大していく米ネット証券大手、チャールズ・シュワブをはじめ、顧客本位の方向に大きくかじを切った業界が活力に満ちた競争を繰り広げている世界が活写される。
IFAの動きと考え方に焦点
そんな海外の動向に刺激を受けて起き始めた日本での変化の胎動が第3章のテーマで、この章が最大の読みどころだろう。追いかけるのは、独立系金融アドバイザー(IFA)として、新たな証券ビジネスの構築へ走り始めた3人――GAIA(東京・新宿)、ファイナンシャルスタンダード(東京・千代田)、ジャパン・アセット・マネジメント(同)の創業者と、IFAモデルを導入した中堅証券、いちよし証券のトップの動きと考え方だ。