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問題はその「良い仕事」の定義です。人事の仕組みでいえば、上司が評価することで、その人の仕事ぶりがわかります。しかし上司による評価は他の人たちには見えません。評価結果も昇給額も賞与額も、普通の会社では非公開にすることが一般的です。

上司以外に認められるべき「良い仕事」とは。

このことは、逆に考えてみるとわかりやすくなります。

私たち自身が誰かに対して「良い仕事」をしている、と認める場合のことを想像してみましょう。

それは期待通りの品質とスピード、でしょうか。

いえ、私たちは期待通りのモノを示されると、それに対して少しばかり不満を持つ習性があります。

大事なことは、少しでいいので、相手の期待を超えていくことです。

たとえば、完成していればよい、という品質期待に対しては、より使い勝手の良い品質にまで高めるとか。期日でよい、としていたものであれば、期日より少し早く提示して修正の期間を確保するとか。

そうしたちょっとした期待を超えていく作業によって、私たちの名前は相手の記憶に残りやすくなります。

そうすればたとえば「うちの商品のマーケティングの現状を知りたいんだけれど誰に聞けばいいかな」「人事制度の運用改善を考えたいんだけれど、プロジェクトに誰をアサインすればいいかな」といった問いかけに対して、名前があがりやすくなります。

それはやがて考えるべき異動や転職の際にも有効な準備です。

〇〇株式会社の△△さん、ではなく、食品流通について聞くんだったら△△さんだよ、と言われる存在になるということであり、あの業界には△△さんがいるよね、と言われる存在になる、ということでもあります。

知識や経験を積むことも大事ですが、私たちが提供する価値を使っている相手の期待を理解して行動する、ということの方がもっと大事なのです。

「同じ時間」「同じ場所」で働くことから「それぞれの時間」「それぞれの場所」で働くようになる新しい働き方の中で、直接指名されることの重要性はさらに増していくのですから。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。高度人材養成機構理事リーダーシップ開発センター長。

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