知識を総合し考え抜く 投資は最良のビジネスの教科書
人生の景色が変わる本(18) 『ビジネスエリートになるための教養としての投資』
要点3 "投資"と"投機"は全く異なるもの
農地を買う場合に例えるなら「その土地がいくらで売れるか」を考えるのが投機、「その土地からどれだけの作物が取れるか」を考えるのが投資だ。株価の変動に一喜一憂するギャンブル的な投機に対し、投資とは、企業の事業が継続的に成功するか、どれほどの利益を生むかを見極め、その企業のオーナーになること。「人々が持つ課題を解決することで得られる対価」が利益だとすれば、投資家は社会をよりよくするために貢献しているともいえる。起業家がゼロから1をつくり出すのに対し、投資家は1を100にすることもできる仕事だ。
要点4 強靱な構造を持つ会社を選ぶ
投資するなら、少しのショックでは傾かない強靱な構造を持つ企業を選ぶべき。そうした企業は「世の中にとって本当に必要」と思えるような付加価値、「競争相手が現れないほど圧倒的に強い」高い参入障壁、人口動態など、「絶対に元には戻れない」といい切れるような長期潮流、という3つの要素に支えられている。この3つの条件を満たしている企業を厳選して株式を買おう。
要点5 人生100年時代は投資の意義が深まる
平均寿命が延びると、その分だけ必要なお金も増える。だが、人間が働ける期間は六十数年。高齢になっても働くべきという説もあるが、大半の人が年を取ると生産性が下がってしまうのも事実。そこで、投資を通じて他人に働いてもらうことが解決策となる。また、日本の個人金融資産は半数以上が現預金のため、ほとんど増えず、日本企業の利益も伸びていない。このままでは日本社会全体が貧しくなっていくのは明らか。日本社会の未来を切り開く力のある企業に投資し経済を動かすことは、日本人としての責務ともいえる。
(嶌陽子)
[日経ウーマン 2020年10月号の記事を再構成]