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『仕事の流儀』:プロフェッショナルの姿勢を学ぶ

プロフェッショナル番組といえば、NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』。既に放送400回弱を数えます。登場人物はいずれも斯界の「超一流プロフェッショナル」です。

「ご神木」を切り倒す決断をする樹木医、あえて「絶対直す」と言い切る脳神経外科医、イタリア・ピニンファリーナ社でカーデザインチームを率いる日本人ディレクター。

各人の言葉は、選ばれ鍛え抜かれてきたものであり、ギリギリ極限の世界での緊張感が伝わる名番組です。100冊以上の本(含む電子書籍)にもなっています。その中でも、2006年5月に放送された、日産自動車テストドライバー加藤博義の回は秀逸でした。

彼は日産自動車のテストドライバー数十人のドン(当時)です。その評価は「神の声」と言われるまでだったとか。計器に出ない、測定し得ない微妙なズレや難点を、彼は自分の感覚でズバリ表現します。その感覚は研ぎ澄まされ、速度計なしでもスピードを誤差時速1キロメートル以内で言い当てます。

その彼の基本スタンスは「修羅場で笑えなきゃ、プロじゃない」

彼は時速200キロメートルで疾走する車を指先だけで運転したり、期限の迫った大問題に直面しても笑顔を見せたり、どんな極限的状況の中でもその余裕を失いません。たとえそれがやせ我慢であったとしても、余裕を見せることで自分も相手も何とかなる気がする、前進する気がする、と。

そんな彼の、部下育成方法は独特です。

ある日、開発中の車に装備するタイヤセットを決定するための評価を、若手2人に任せました。3週間かけて2人は徹底的に走り込み、測定し、議論し、また走りました。期限ギリギリになってから加藤は現場に行き、黙って自ら試乗します。タイヤセットごとに1時間だけかけて。

その後、若手たちに彼らとしての結論を言わせます。「セットAが良いと思います」「理由としては……」

彼は軽く、うなずきます。「それでいいんじゃないか」

ある意味、徹底的な放任スタイルです。加藤は言います。「俺は教えない」「教えちゃうと、教わろうっていう『クセ』が付いちゃうから」

受け身的に教わることに慣れてしまった人間は、決してトップには立てないのです。どんな職業であれ、トップに立つとは前人未踏の世界に足を踏み込む者になるということです。

そこで必要なのは「教わる力」ではなく「自ら学ぶ力」です。でも、そんな力をどうやって「教える」のか……。いや「教えずして導く」のか。プロフェッショナルたちの声が、それに答えてくれるでしょう。

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