読めばやる気UP 専門家おすすめ「お仕事小説」15選
多様化する働き方、改めて考える一助
新型コロナウイルスの感染を防ぐため、今年は在宅勤務などの新しい働き方が一気に広がった。働き方が変わったことで、仕事との向き合い方について改めて考えた人も多かったに違いない。
ただ、仕事を見つめ直すことは必ずしも転職などの動きにつながっていないようだ。日本能率協会マネジメントセンター(東京・中央)が6月に会社員約1500人を対象に実施した調査によると、自分の今後のキャリアについて55.5%の人が「今の会社の事業に関わるなかで、成長していきたい」と答えた。
今回、選ばれた小説の主人公は辞書編さん者や駅員など様々だが、多くの作品が仕事に真摯に取り組む大切さを訴えている。加野雅子さんは「駅物語」で主人公たちが立ち向かうものは「重くて壮絶ですらあるが、くじけず進む気迫が伝わってくる」と評する。屋内で過ごす時間が増えるこれからの季節。珠玉の作品を読みながら、仕事や人生とじっくり向き合ってみたい。
ランキングの見方
作品名、著者名。数字は専門家の評価を点数化。(1)出版レーベル(2)税込み価格(3)文庫版出版年。写真は三浦秀行撮影。調査の方法
2000年以降に文庫化され、電子版でも購入できる、主人公が給与所得者などの条件を満たすお仕事小説から、東京経済大学名誉教授の堺憲一さん、紀伊国屋新宿本店の竹田勇生さん、八重洲ブックセンターの内田俊明さんの助言をもとに1作家1作品、合計42作品を選定。書店員ら専門家12人が「リアリティーがある」「前向きになれる読後感」「その仕事の価値や大切さが理解できる」の観点からおすすめ順に15位までを選び、結果を編集部で集計した。今週の専門家
▽赤須恵美(オンライン書店e-hon)▽内田俊明(八重洲ブックセンター営業部マネジャー)▽浦田美穂(リブロ新大阪店)▽金子圭太(くまざわ書店調布店店長)▽加野雅子(成田市立図書館副主幹)▽堺憲一(東京経済大学名誉教授)▽芝健太郎(有隣堂商品戦略部書籍雑誌課係長)▽竹田勇生(紀伊国屋書店新宿本店課長代理)▽中沢佑(日販YOURS BOOK STOREブックディレクター)▽萩原健太(フタバ図書商品部書店事業課バイヤー)▽藤村結香(宮脇書店本店)▽間室道子(代官山蔦屋書店文学コンシェルジュ)=敬称略、五十音順(生活情報部 清水玲男)
[NIKKEIプラス1 2020年11月28日付]