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半世紀経ても類似品が現れない理由

ただ、発売当初は生産面で苦労した。「小枝」は中に含まれる小さなパフやナッツが多すぎると、もろくなりやすく、少ないと独特のサクサクとした歯ごたえが味わえない。さらに「細くするためにチューブでチョコレート部分を形成しようとしても、パフやナッツ(当初はカシューナッツを使用)がチューブの内部に詰まって大量生産ができないといった課題を抱えていました」(村瀬氏)

結果として、商品の立ち上げ当初は人海戦術に頼る場面が多くあったという。1977年からはナッツをアーモンドに変えた。村瀬氏は「今でもパフやアーモンド粒をほどよく入れ込んで『小枝』並みの細さでチョコを形成する技術は、どの会社にも難しいと思います。そこは森永製菓としての優位性になりました。おかげで発売から50年近くたっても、類似商品が出てきていないのが『小枝』の強みです」と強調する。

「小枝」は発売当初、横長の箱(外装)の中に、2つに分かれたトレイがあり、その中に細長い「小枝」を並べて、トレイの上をシール材でふさぐ形で販売されていた。豆腐がパックに入って2丁つらなったものがスーパーでよく売られているが、あの形状の中に豆腐ではなく「小枝」が並んでいて箱に入っていたと考えれば当時を知らない人にも分かりやすいだろう。

ただ、豆腐のパックと同様に「シール材をはがして一度開けてしまうと、中身を全部食べないといけない。少しずつ食べたいという要望や需要を逃すというチャンスロスはあったと思います」と村瀬氏は当時を振り返る。核家族化、少子化によって、1人で少しずつ食べたいという需要も徐々に高まっていく時代背景もあった。一方、小売りの現場ではチョコレート菓子でも多種多様な商品が次々と登場してきたため、「小枝」も類似品は存在しなくても目新しい商品と競合することが増えてきていた。

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