30代、転職が浮かんだら 持っておきたい5つの視点
ミドル世代専門の転職コンサルタント 黒田真行
入社時点の条件より、入社後3年の見通しが重要
今後、転職活動を始めて、もし無事に選考が進んで内定をもらうところまでたどり着いたとしても、まだ最後の壁が残っています。それが条件交渉です。ここですり合わせができないと、どれだけいい仕事でも、すべてがご破算になってしまいます。
特に30代以降に初めて転職する人は、1社目で長く働いているということなので、その会社の規定が年功給的な制度の場合、在職期間の長さによって年収が上がっています。
それ以上に問題を複雑にするのは、現在の年収に「前払い」的な月額給与に加えて、前期や前半期の実績に応じて「後払い」的に支給される賞与が含まれていることです。
転職する直後は、まだ実績を生み出せていないので、期待値評価である月額給与は確定できても、本来的には賞与分がない状態です。しかし、本人としては「今もらっている年収」を転職後も確保したいという心理が働きます。
一方で、給与を支払う側の立場としては、前職企業と評価イーブンとするなら、実績賞与を除いた「月額給与×12カ月」で数字をそろえ、賞与は別途「後払い」方式で上乗せしたいという理屈になります。
この価値算定の違いが、内定後の条件通知で見る初年度年収にギャップとして表れ、それによって内定辞退となるケースが非常に多いのが実態です。
これから転職活動をするかもしれない人へのアドバイスがあるとすれば、入社直前と入社直後の年収だけを比較して、狭い視野で考えるのではなく、入社後2年目、3年目と時間が経過したときに、うまく成果を出せばどんな評価制度で昇給・昇格していくのかを重視していただきたいということです。
また、そもそも期待されている任務が、自分の力量に合っていて、成果を出せる見通しが立つかどうか、という点も重要です。期待されている成果、時間軸、成果を実現するための人員や投資が十分か、など、できるだけ詳細に確認することも忘れないでください。
※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。
