書店員がおすすめ 年末年始に読みたいビジネス書9冊
スキルを考え抜き、生き方・働き方を深く見直す

青山ブックセンター本店の本田翔也さんのおすすめは『英語日記BOY』と『心をつかむ超言葉術』
青山ブックセンター本店の本田翔也さんが選んでくれたのは新井リオ『英語日記BOY』(左右社)と阿部広太郎『心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)。いずれも本シリーズで同書店を訪れたとき紹介した本だ(参考記事:「英語日記×スマホでOK お金かけず世界めざす独学法」「「今でしょ」生んだコピーライター 伝わる言葉考える」)。
『英語日記BOY』は、ブログ人気からクラウドファンディングで出版に至った異色の自伝的英語学習本。デザイナー・イラストレーターとして仕事を始めて3年余り、まだ駆け出しといっていい20代半ばの若者が、自身の英語学習の考え方とそこに至った経緯、学習法の中身、そしてこれをきっかけにどのように仕事や人生を切り開いていったかをみずみずしく語った内容だ。「英語の独学法のスキル本の枠には収まらない、生き方のおもしろさにワクワクさせられる」と本田さんは選んだ理由を話す。
もう一冊の『超言葉術』の方も本田さんが引かれたのは、「人に伝わる言葉について考えていくことで、企画や仕事、さらに世の中とどう関わっていくかにまで広がっていくところ」だという。

リブロ汐留シオサイト店の河又美予さんのおすすめは『スペースキーで見た目を整えるのはやめなさい』と『LIFESPAN 老いなき世界』
リブロ汐留シオサイト店の河又美予さんが選んでくれたのは、四禮静子『スペースキーで見た目を整えるのはやめなさい』(技術評論社)と、デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラント『LIFESPAN 老いなき世界』(梶山あゆみ訳、東洋経済新報社)。
『スペースキーで…』は、「テレワークで困らない ワード・エクセルの基本を解説」の記事で紹介した。オフィスワークの定番ソフト「ワード」と「エクセル」の生産性を上げる使い方を解説したビジネススキル本だ。独りよがりの使い方に陥りがちなポイントを指摘し、基本の使い方を説く。「タイトルが多くの読者に刺さった本。息の長い売れ筋だった」と河又さんは話す。テレワーク時代ならではのおすすめ本だろう。
一方の『LIFESPAN』は、「老化は治療できる」ことをエビデンスとともに示し、やがて到来する老いなき世界を描き出す。「NIKKEI STYLE ブック」では「老化は治療できる 健康寿命120年の世界がすぐそこに」(ひらめきブックレビュー)の記事で紹介した。筆頭著者は老化の原因と若返りの方法を研究する米大研究所の科学者だ。「うちのチェーンでは『とんでも本』のようにいう書店員も多かったが、きちんとした研究から語る老いなき世界は魅力にあふれている。将来に夢が持てる本」と河又さん。同店での読者の反応もよかったそうだ。
独学本から経営学の最前線に触れる本、力作のノンフィクション、生き方・働き方を考えさせる本まで多彩な本がそろった。年末年始の読書の参考にしてほしい。
(水柿武志)