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「任せてください」「必ず成果を出してみせます」と言える人

3つ目に、採用企業が幹部・リーダーにいま求めている、選考中に念には念をで確認を入れているのは、「自分に任せてくれれば、与えられた役割・成果を必ず出してみせる」という自信、確信です。

私見としては、特に経営者はいま、この部分に最も採用可否判断のプライオリティーがあると感じます。

「大丈夫です、ぜひ私にお任せください」。いいですね、自信にあふれる明快な言葉と胸を張った態度。こうした自信があるかないかが、まずはリーダーとしての採用可否ポイントではありますが、では、この堂々たる態度があればOKかといえば、話はここでは終わりません。

論点は、「なるほど、その自信いいですね。で、なぜ、そう断言できるのですか?」に対する回答です。根拠ある自信か、単なる過信あるいは虚勢か。どこでそれは分別され、推し量られるのか。

認知心理学者のアルバート・バンデューラ博士が提唱する「自己効力感」。これは、未来の自分に対する自信を意味する心理です。この感覚が強い人は、結果を出すために適切な行動を選択し遂行するための能力を自らが持っていると思えています。実行力、やり切る力の源ともいえ、リーダーには必須の資質です。

バンデューラは自己効力感を高める4つの方法を紹介しています。それは(1)達成経験(やりきった体験)(2)代理体験(身近なロールモデル)(3)言語的説得(あなたなら、やればできると期待される)(4)生理的情緒的喚起(心身ともに健全)です。

読者の皆さんの中で、面接官側の人もいると思いますが、その人には、面接時にぜひ、この4つについて応募者にヒアリングを行い、確認してみてください。

これまでの仕事や人生の中で達成経験を持っているか(できれば複数)、身近なロールモデルを持っているか、それはどのようなひと、部分か。「あなたならできる」と声がけされているか、自分自身で「やればできる」と思っているか、心身ともに健全か。これらを満たしているなら、その候補者は「裏付けのある自信」を持つ人でしょう。

応募者であるあなたには、ぜひ面接前に自身の自己効力感の源泉についてチェックしてみてください。それはそのまま、面接時にあなたがどれくらい説得力ある「任せてください」を言えるかどうかにつながっています。

基盤としての「精神的安定性・成熟」に加え、「積極的傾聴で共感的理解を示せる」という母性、「自分ならやれば必ずできるという確信」という父性。この「基盤・母性・父性」の3つを持つリーダー人材こそ、このウィズコロナからアフターコロナに向かって混迷・不確定な事業や組織をけん引できる人であり、社長や企業がいま必死に求めている人材です。

新年にぜひこの3つを強化するよう、それぞれの源泉を見つめ直し、研ぎ澄ませて、「タフなリーダー」として新しい年のスタートを切ってください。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

井上和幸
経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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