変化を起こすのがリーダー 全社員に毎週メッセージ
サラヤ 更家悠介社長(上)

サラヤ社長 更家悠介氏
「ヤシノミ洗剤」で知られるサラヤ(大阪市)は2019年10月期の売上高約500億円の7割近くを衛生関連が占める。更家悠介社長の父が1952年、赤痢を予防する手洗いせっけんで創業した。更家社長は「変化を起こすリーダー」として20年以上にわたって会社を率いて、多角的に衛生関連商材を製造販売するメーカーに成長させた。新型コロナウイルスなど感染症対策の需要が高まっていることもあり、さらに社会に必要とされる会社に育てたい考えだ。
――リーダーに必要な条件は何だと思いますか。
「3つあると思います。1つは『チェンジメーカー』であることです。新型コロナの感染拡大や脱炭素社会への移行など、社会の大きな変化に対して会社という組織を変化させなければなりません。課長より下の役職の従業員は会社のルールの中でどう活躍するか、ということを考えます。でも、それ以上の役職の人は会社のあり方自体を考える必要があります。ビジネスである以上、学者のように理論を提唱するだけでは意味がありません。実際に変化を起こさなければいけません」
「2つ目は道徳的な基準を持つことです。リーダーは変化を起こさなければいけませんが、変化を起こすときには『なぜ変えるのか』という基準を自分のなかに持っている必要があります。SDGs(持続可能な開発目標)や事業の将来性のようなものもあるでしょうし、社会性や倫理性、普遍的な価値も大切です。単純に利益を上げることだけでは理解してもらえないでしょう」
「3つ目はコミュニケーション能力を磨くことです。魚の養殖の世界では薬剤耐性菌がパンデミックを引き起こしています。人の世界だけでなく、あらゆるところで感染症の流行は続いていきます。新型コロナに対しても、各国のリーダーがそれぞれ発信するメッセージが大きく異なっています。企業のリーダーも従業員に対して、論理や科学的見地に基づいてメッセージを発信することが必要だと考えています」
――自分はどんなタイプのリーダーだと思いますか。
「よく粘るタイプのリーダーだと思います。商品を開発するときには、すぐにうまくいかなかったり、売れなかったりすることも多いのですが、長い目で取り組んでいます。サラヤは非上場のオーナー企業なので、株主利益を強く求められる上場企業と異なる点もメリットの一つと捉えています。なので私は目先の利益だけでなく、『衛生・環境・健康』というサラヤの企業理念や社会に必要とされる活動を大切にしたいと考えています」