洛星の老舗オーケストラ部 コンクールに出ない理由
洛星中学校・高等学校(中)教育ジャーナリスト・おおたとしまさ

チェロの練習にはチェロ用の部屋がある
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初心者でもオーケストラを演奏できる
洛星はカトリックの男子校で、生徒のおよそ半数が京都大学を受験するような進学校。しかし一方で、2020年の新型コロナウイルス禍でも、休校期間中の遅れは極力通常授業の中で取り戻し、夏休みはできるだけ削らなかった。クラブ活動の時間を確保するためだ。中学野球部は京都府では常に1位2位を争うこともある強豪だし、演劇部が全国大会に出場するなど、部活でも高い成果を出している。
なかでもオーケストラ部は学校創立当初からある老舗クラブ。現在、中高合わせて70人を超える大所帯だ。活動日は週4日。4月のチャリティーコンサートと9月の文化祭での公演が主な晴れ舞台である。
洛星創立60周年を記念してつくられたオリジナルの交響曲「翔星」のメロディーには洛星生が校歌と並ぶ愛着をもって歌う「トゥリオンフ」という楽曲が取り入れられており、また曲名には洛星の生徒たちが世界の幅広い分野で活躍してほしいという願いが込められている。
大所帯をまとめる部長の苗村亮さん(高2)に話を聞いた。
――なぜオーケストラ部に入ろうと思ったのか。
入学すると、新入生勧誘というのがあって、いろいろな部が熱心に勧誘してくれます。オーケストラ部の先輩の勧誘が熱心で、練習を見学させてもらいました。高校生が中学生を熱心に指導していて、その人間関係が魅力で入部を決めました。
――もともと楽器をやっていたのか。
ピアノは習っていましたが、弦楽器はまったくでした。いま、チェロを担当していますが、最初はまったくの初心者でした。でも先輩が熱心に教えてくれて、僕自身初めて熱中できるものを見つけたというくらいにのめりこみました。
――未経験者が多いのか。
バイオリンを習っていたという部員がちょっといるくらいで、ほとんどが管弦楽器の未経験者です。