洛星の老舗オーケストラ部 コンクールに出ない理由
洛星中学校・高等学校(中)教育ジャーナリスト・おおたとしまさ
――洛星のオーケストラ部の自慢は何か。
9月の文化祭と、4月のチャリティーコンサートが大きな見せ場ではありますが、コンサート当日よりもむしろ日常の活動に魅力があると思います。僕は、楽器演奏も好きなんですが、オーケストラ部の人間関係が好きなんです。音楽のことだけではなくて、勉強のこととか行事のこととかも先輩からたくさん教えてもらいました。それも上下関係ではなく、友達同士のように話し合える雰囲気なんです。だから毎日の練習が楽しいんです。
――フラットでアットホームな雰囲気なんですね。
洛星名物の「クリスマス・タブロー」やその他の学校行事でも、実は各部門で裏方としてオーケストラ部員が活躍していることが多くあります。部員同士の絆がとても強いので、部活以外の場所でも縦のつながりが生まれます。

部長がいうほど汚くはない部室
――洛星の良いところはどんなところだと思うか。
クラブにしても、行事にしても、勉強にしても、自由なところですかね。やる気があるひとにとってはものすごく選択肢が豊富にありますし、先生も過度に干渉してきません。今年(20年)の文化祭はコロナの影響で縮小せざるを得なかったのですが、制約の中で最大限やらせてもらえたなと思っています。
――逆に洛星の残念な部分はどこか。
自由すぎるところですかね……。もうちょっと厳しくしていれば、部室もきれいになると思うのですが、部室が散らかりっぱなしなのが、僕は気になります。
演奏パートごとに練習部屋がある
その部室というのがなんと担当楽器のパートごとに分かれている。大講堂の1階部分に、ぜんぶで大小7部屋。チェロの部屋ではチェロ担当の生徒たちが練習し、ホルンの部屋ではホルン担当の生徒たちが練習していた。部長が言うほど汚くはない。
部室を案内してくれた顧問の西尾望さんは、もともとフリーのチェロ奏者として活動していた。聖書の勉強会の縁から、オーケストラ指導ができる音楽教師として洛星で教えることになった。「音楽学を教える先生」ではなく「音楽家」として生徒に接するように心がけているという。