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「洛星のオーケストラ部の魅力は、高2の先輩が中心になって後輩を指導する文化です。みんな初心者なのに、在学中にあれだけ立派に演奏できるようになります。生徒同士が指導をしっかりしてくれているだけでなく、先輩たちだってみんな初心者だったんだから、自分にもできるはずだと思って疑わないことが、もはや伝統になっているのでしょう」(西尾さん)

京都府の総合文化祭で演奏したり、近隣の高校のオーケストラ部と合同で「京都合同オーケストラ」として全国総合文化祭にも参加したりもする。ただし、順位を付けるコンクールには出場しない。

「ひとから決められるのではなく、自分たちで自分たちの目指す音楽を決めて、そこに向かって楽しく演奏してほしいですからね」とは、音楽家らしいコメントである。

他人との競争ではなく、自分たちで自分たちの価値を決めることの大切さを教える顧問。そして楽器演奏もさることながら、その目的を達成しようと協力する人間関係の豊かさに感動する部長。こんなに魂が澄んだひとたちが奏でる音楽が美しくないわけがない。

校章を立体化したオブジェ

校章を立体化したオブジェ

洛星の校章の星形は、2つの三角形が上下逆を向いて重なってできており、彩色は黄金と濃紺で、それぞれ潔白と誠実をあらわしている。その理念通りの人物が、洛星には本当にいるのである。

洛星中学校・高等学校(京都市)
 主にカナダからやってきたヴィアトール修道会の宣教師らによって、1952年に設立された。現在京都に2つしかない男子校のうちの1つ。1学年約225人の完全中高一貫校。2020年の京大合格者数は46人、国公立大医学部は29人。東大・京大・国公立大学医学部合格者数の直近5年間(2016~2020年)平均は91.2人で全国18位。卒業生には、京都府知事の西脇隆俊氏、静岡県知事の川勝平太氏、スカイマーク会長の佐山展生氏、積水ハウス社長の仲井嘉浩氏などがいる。

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