少子高齢化のリアル 20年後の人口が見せる年金と税金
『2040年の未来予測』より

『2040年の未来予測』著者の成毛真氏
20年後、あなたは何歳だろうか? リスクをわかっていながら、被災するまで手を打つ人は少ないし、明らかに社会制度は破綻しつつある。人口は増えず老人ばかりの国になるし、環境問題も悪くなる一方だ。では、どうすればいいのだろうか? それにはありのままを知って、準備をするしかない。日本マイクロソフト元社長で数々のビジネス書を執筆している成毛真氏の新著『2040年の未来予測』(日経BP)から、未来に何が起こるのか見て、対策を立てよう。
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2040年の日本は老人ばかり
2040年に果たして、年金はいくらくらいもらえるのか、税金はどのくらい払うのか、医療費はどうなるのか。現状をきちんと把握しながら、未来に私たちが何をすべきか考えていくのは、とても大切だ。そもそも、その背景には一体なにがあるのかを知ろう。
日本の財政は破綻すると誰もが聞いたことがあるだろう。

『2040年の未来予測』(日経BP)
そのことについて心配している人をよく見かけるが、財政破綻しようがしまいが、これからの日本がますます貧しくなるのは間違いないことを、まず認識しなければならない。
「ますます」と書いたのは、2020年の今、日本はすでに貧しい。こう聞くと違和感を抱くかもしれない。私たちの生活は5年前、10年前と大きく変わっていない点も少なくないからだ。
たとえばあなたが30代ならば、昼に800円のラーメンを食べ、夕飯に500円のコンビニ弁当を食べることが10年前もあったはずだ。変わらない光景がそこにはあるわけだから、貧しくなっていないではないかと思う人もいるだろう。
だが、これは、裏返せば、10年前から物価がほとんど上がっていないということでもある。コロナ禍の前までは海外から観光客が押し寄せていたが、あれは日本の観光キャンペーンがうまいわけでも、日本の自然の風光明媚さが外国人の心をつかんでいるわけでもない。
単純に、自国でモノを買うより日本で買う方が圧倒的に安い国が増え、その国の人たちが押し寄せているのだ。
私たちが変わらない間に、他の国々は所得が増え、リッチになり、自国での物価が上昇し、日本に行ってでも買い物した方が得なのだ。つまり、日本は世界でみると、「安い国」になったということである。
こうした状況は今後も変わらない。