変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

長野県信濃町の黒姫にも山荘を持っており、中1と中2の4泊5日の登山合宿はそこを拠点にして行われる。中1では標高約1917メートルの飯縄山に登る。中2では標高約2462メートルの火打山に登る。さらに中3の立山登山旅行では、なんと標高3000メートルを超える立山連峰を縦走する。中1~2では山荘でのスキー合宿も行われる。インストラクターに頼らず、教員たちが教えるのが大阪星光学院のしきたりだ。

南部学舎の目の前は海(学校提供)

南部学舎の目の前は海(学校提供)

これとは別に、中2で5泊6日の南部勉強合宿、中3で6泊7日の山荘勉強合宿、高1で3泊4日の南部勉強合宿と6泊7日の山荘勉強合宿、高2で6泊7日の勉強合宿と5泊6日の勉強合宿、高3で6泊7日の勉強合宿がある。文字通り勉強漬けの合宿で、いずれも原則として希望者制だが、多くの生徒が参加する。ときどき合宿を行い、規則正しい生活のなかで生徒同士で刺激を与え合い、学習の意欲を高めるのが大阪星光学院流のモチベーション維持法だといえる。

もともとは勤労青年支援の教育修道会

なぜこんなに合宿が多いのか。大阪星光学院の教育の基本姿勢「アシステンツァ」に由来する。「アシステンツァ」とは、英語の「アシスト」と同じ語源をもつイタリア語。「ともにいること」を意味する。

大阪星光学院の経営母体は、サレジオ会という教育修道会。1859年にイタリアのトリノで聖ヨハネ・ボスコ(ドン・ボスコ)が興したとされる。現在世界138カ国で約2500校の学校を経営しているという。日本にも神奈川県のサレジオ学院中学校・高等学校や東京都のサレジオ工業高等専門学校、宮崎県の日向学院などがある。

産業革命後のイタリアの都市部では、田舎から出てきた若者たちが悲惨な生活を強いられていた。ボスコは「オラトリオ(祈りの家)」という寄宿舎を設け、彼らをそこに住まわせて職業訓練を行った。中国の故事に出てくる「魚を与えるのではなく魚の釣り方を教える」と同じ発想だ。

しかし毎日職業訓練だけでは心が安らがない。ボスコは、「ともに遊ぶ」ことも大切にした。サレジオ会の学校の中に「娯楽室」があるのはそのためだ。イタリアから取り寄せたアナログでいかついサッカーゲームなどがあり、生徒たちは好きなときに使うことができる。いわば、アナログな校内ゲームセンターだ。キリスト教主義の学校といっても、聖職希望者に規律を教え込むのではなく、勤労青年支援を旨としていたことの名残ともいえる。

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