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採用時の「ミスマッチ」を防ぐ

森本 私たち転職エージェントの立場からすると、絶対に避けたいのは、採用した企業と採用された人が入社後にミスマッチを起こすことなんです。これは昔も今も変わらない採用課題ですが、「back check」はミスマッチを予防できるサービスですよね。

中嶋 採用でミスマッチを経験したことがない企業はほとんどないと言い切っても過言ではないように思います。雇用の流動性が高まる中、この恒久的な課題を解決したいと考えたのが、サービス開発のきっかけです。また、このサービスが求められている背景に、近年、異分野の人材を採用するケースが増えていることが挙げられます。

森本 異分野の人材を採用する、いわゆる「越境転職」は増えていますよね。リクルートキャリアが行った、この10年間の転職決定者の分析調査によると、7割弱の人が異業種へ転職しています。

変化が激しいこの時代、多くの企業が新たな価値を創出するために、既存社員にはないスキルや発想力を持つ人を異業界から迎えていますね。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)推進関連の採用では、「越境」が多く見られます。

中嶋 事業会社がIT(情報技術)・インターネット業界からDX人材を採用したり、大手企業がベンチャー出身者を採用したり。スタートアップが大手企業出身者を採用するケースもあります。

自社とは異なる文化や価値観を経験してきた人材や、これまで採用したことがないタイプの人材だから、選考面接でどのように判断すべきなのか悩むわけです。「この経験・スキルは一般的にどの程度のレベルなんだろう」「優秀なのはわかるけれど、うちの組織には合うのだろうか」などと感じるようです。

採用する側の企業としては少しでも多くの判断材料を得て、多角的な視点で採否の意思決定を精度高く行いたい。そこで、「back check」が役立つわけです。

オンライン面接の「人物面をつかみにくい」をカバー

森本 導入企業が急増しているのは、やはり新型コロナウイルス禍の影響も大きいですか?

中嶋 影響はあります。コロナ禍をきっかけとした経営上のリスク回避を目的に、採用数を絞り込んでいる企業の場合、「1人しか採用できないから、本当に優秀で自社にとってベストな人物を採用したい」といったように、これまで以上に慎重に見極めようとする傾向にあります。

また、オンライン面接が前提となったことで、「対面でやりとりするよりも候補者の人物面をつかみにくい」と悩んでいるケースも少なくありません。オンラインで1時間ほどにわたって、対面での面接と同じように質疑応答を行うけれど、面接官としては最終的な確信に至らない部分がどうしてもある。そうした不安を補う目的で導入するケースも最近増えています。

森本 対面面接なら、その場の空気からいろいろなものを感じ取れるけれど、オンラインだとわかりにくいですから。その人と一緒に働いていた人からの人物評価は参考になりますね。

私も採用候補者から承諾を得た上で、レファレンスコメントをいくつか見せてもらったのですが、レファレンスを依頼された側の人がとても丁寧に回答していることに驚きました。採用候補者が有利になるように、褒め言葉しか書かないのではないかとも思いましたが、弱い部分についてもちゃんと客観的に書かれている。「本当に合う企業に出合えるように」と、真剣に転職を応援する気持ちを感じました。

けれど、おそらく「レファレンスチェックを依頼できる人がいない」という人もいますよね。

中嶋 そうですね。「依頼できる人がいるかどうか」も、企業がみているポイントです。これまで職場の仲間と信頼関係を築いてきた人柄なのかどうかの一端がうかがえるわけですから。

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