変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

――どのように考え方を改めたのですか。

「ずっと利己的に生きてきたことを反省し始めた30代前半に、京セラ創業者の稲盛和夫氏の本を読んだのです。トンカチで頭をたたかれたような衝撃を受けました。私とは正反対で、世の中の人たちを幸せにする利他の精神がはっきりと書いてありました。なんて自分は小さい男なんだと涙が出てきたのを覚えています」

「34歳前後のことで、それからリーダーとはどう振る舞うべきかを本気で意識するようになりました。まず、社員と対話することから始めて、何のために組織や会社はあるのか、ゴールをどこに設定すべきか、真剣に考えました。株式公開の目標は取り下げて、『この会社はみんなの幸せのためにある。今まで申し訳なかった』と謝罪しました」

「目指す山」掲げることが大切

「すると社内にそれまでになかった一体感が生まれ、売り上げもそれまで以上に伸び始めました。そして今度こそ全員で株式上場を目指そうとなって、直前まで行きましたが、リーマン・ショックが起こって取りやめました。39歳で会社を売却して社員の雇用は守りつつ、私は予定通り40歳手前で一度第一線を退いたのです」

「それから約2年間、世界中をバックパッカーのように回りました。世界の様々な人や環境から刺激を受けながら、失敗した自分の経験を振り返ると、ものすごく自分自身が研ぎ澄まされていく感覚がありました。旅先で40年間の人生を細かく振り返り、最終的にA4で50枚分くらいの文章にまとめました。利己的だった自分と向き合い、汚れを落とす作業で、心身がピュアになったと思います」

世界を放浪した経験で現在も旅行が好きだという

世界を放浪した経験で現在も旅行が好きだという

「その頃、知人から赤字続きだった千葉ジェッツの経営を託されました。30代までの挫折の経験から、自分にとっても社員にとっても『目指す山』を掲げることが大切だと分かっていました。だからこそ『千葉ジェッツふなばしを取り巻く全ての人たちと共にハッピーになる』という活動理念を最初に掲げて、その理念を達成するための施策を若くてバスケット好きな若者たちと一緒に必死に考えて取り組んだのです」

「この理念は各種メディアでも、繰り返し口にしました。クラブの活動と目標の一貫性を示したことで信用につながり、クラブの価値が上がるという好循環を生んだのだと思います。社長時代には日本出身選手で初めての1億円プレーヤーも誕生させました。バスケットは子供が夢を持てる世界だ、と分かりやすい形で示すことができたと思います」

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック