「早めに退職し旅行暮らし」が現実に 体験的マネー術
人生の景色が変わる本(21) 『FIRE 最強の早期リタイア術』
要点3 指数連動のETFに分散投資すればいい
インデックス投資をするに当たって拠(よりどころ)としたのは、資産配分でリスクをコントロールできるとする「現代ポートフォリオ理論」。著者は株式と債券の比率を6対4に、株式部分は地元「カナダ」と「米国」「欧州+アジアなど」に3分の1ずつ分散することに決定。この比率に従って、それぞれの指数に対応する投資信託を買った。現在は、通常の投資信託よりもETF(上場投資信託)がおすすめ。さらに手数料(経費率)が安い上、証券会社に口座を作れば、誰でも株式のように売買できる。投資したい指数に連動し、かつ経費率がより低いETFを選ぼう。
要点4 暴落時の売りは厳禁 むしろ買い増すべし
著者は、運用開始後間もなく相場の下落に直面、投資資金の2割を失った。しかし現代ポートフォリオ理論の教え通り、値下がりしたものは買い増しし、値上がりしたものを売ることで、当初決めた通りの投資比率を維持。結果、市場が立ち直るより1年以上早く、損失を取り戻すことに成功した。暴落時に一番やってはいけないのは、慌てて売ってしまうこと。相場はいずれ回復するのだから、値下がりするなかでむしろ買い向かうことこそが投資の秘訣なのだ。
要点5 世界旅行をすると資産が増える!?
最終的に大事なのは、お金よりも自由。そう痛感した著者は早期リタイアを目標に定める。きっかけは「4%ルール」(資産が年間生活費の25倍に達すれば、95%の確率で毎年4%を取り崩す生活を30年続けられる)を知ったこと。さらに投資に励む一方、このルールの確実性を高めるために独自の工夫を講じるなどした末、ついに会社を辞めて世界旅行に旅立った。東南アジアなどでの滞在を増やすことで、自国で普通に暮らすよりも出費を抑えられることを発見。以来、さらに資産を増やしながら世界を巡る生活を楽しんでいる。
(手代木建)
[日経ウーマン 2021年3月号の記事を再構成]