出口治明氏が地政学入門 歴史から示す日本の立ち位置
八重洲ブックセンター本店
日本は歴史上まれな国?
翻って日本は? 第4章「日本の地政学とは?」では、日本が置かれている地政学的現実をあぶり出す。著者によれば日本はこう定義づけられる。「周辺の国々すべてとトラブルの火種を抱えている歴史上稀な国で、ロシア、中国という大陸の二大国家が太平洋に出ていく障害となる、絶妙な位置に列島が連なっている島国である」。ビジネスパーソンもこうした現実と無縁ではいられない。イノベーション戦略にせよ市場戦略にせよ、このあたりを教養としてしっかり踏まえた上で考える必要があることを本書は教えてくれる。マハン、マッキンダーという地政学の二大古典についても1章を割いて概略が紹介されており、地政学的な世界の見方を大きな流れで知るには読みやすい一冊だ。
「地政学の本は去年も『サクッとわかるビジネス教養 地政学』がベストセラーになった。テーマに加えて著者の人気もあって、この本も入荷直後からよく売れている」とビジネス書を担当する本店マネジャーの川原敏治さんは話す。
トヨタイムズのムックが2位に
それでは、先週のベスト5を見ていこう。
1位は、中小企業経営で人気の著者による人材戦略論。2位には、ウェブで展開するトヨタのオウンドメディアが特別編集したムックが入った。3位は博報堂生活総合研究所によるビッグデータ分析の本。生活者の隠れた実態やインサイトを紹介するとともに、その手法を紹介する。4位と5位には、不動産投資で資産を築く手法を伝授する本が並んだ。今回紹介した地政学入門は7位だった。
(水柿武志)