自己負担ゼロで米国・台湾へ留学 駒場東邦の独自色
駒場東邦中学校・高等学校(中)
「高1では修学旅行の準備を始めたり、文化祭実行委員会の幹部としての役割が回ってきたり、部活でも下級生のまとめ役をやり始めたりする時期です。それぞれの立場で教員との折衝を経験し始める時期でもあります。そのころになると、『いろんなやつがいるんだなあ』ということを徐々に学び始めるんですね。そんな時期に留学した生徒が、『帰国してからは、部活の中の人間関係に対しておおらかに見られるようになった』という話をしてくれたことがあります」とは留学委員のひとりで英語科の畑中さや香さん。
また、実際に交換留学制度を利用できる絶対人数は少ないものの、「学校内で『留学生サポーター』になるという選択があって、放課後に部活を案内したり、休日に東京観光に繰り出したりしてもらいます。もともとは、シャイな生徒たちを後押しする意図でつくりましたが、蓋を開けてみると、サポーター以外にも多くの生徒が積極的に留学生にからみにいきますね」と畑中さん。
交換留学制度があることによっておのずと外に目が向くようになり、在学中に自費で海外に行く生徒も海外大学進学を志す生徒も近年増えてきているという。
「東大を目指す生徒は多いですが、一方で東大以外にもいろいろな選択肢があることを実感できて、かつ、どういう選択肢を選んでも怖くないんだと思えてもらえていることが、この学校のいい雰囲気だと思います。今後はもっと留学先を増やしていけたらいいですね。私は大学でロシア語を専攻していたので、ロシアなんかも(笑)。現在はコロナ禍のこんな状況ではありますが、だからこそオンラインでいろいろできるんじゃないかとも思っています」(畑中さん)
創立は1957年。東邦大学の2つめの付属校としてつくられた。初代校長は菊地龍道。日比谷高校のカリスマ校長だった人物だ。1学年約240人。高校からの募集はない。2020年の東大合格者数は63人で全国7位。東大・京大・国公立大学医学部合格者数の直近5年間(2016~2020年)平均は89.4人で全国19位。卒業生には、ユーグレナ社長の出雲充氏、東京大学先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦氏、脳科学者の苫米地英人氏、数学者の秋山仁氏などがいる。