脱独りよがりが上司への道 会話は二人称を駆使しよう
20代から考える出世戦略(106)

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会話における一人称と二人称。さて、あなたの周りの人たちはビジネスの現場でどちらの主語を使うことが多いでしょうか。主語の使い方はその人のリーダーシップ適性を表している場合があります。
一人称ばかりの疲れる人たち
会話をしていて疲れる人とそうでない人がいます。
特に疲れるタイプの人は、たいてい主語が「私」だったりします。いえもちろん「僕」でも「俺」でもいいのですが、要は一人称単数をよく使う人たちです。日本語の特性上、主語が省略されている場合もありますが、そういう人の話始めは例えばこんな感じではないでしょうか。
「あの会社、うまく(私が)受注できたんだよ。これまで苦労した甲斐があったよ」
「昨日も(私が)遅くまで残業で寝不足でさ。仕事が集まってきて困るんだよね」
さて、あなたはこれらの言葉にどのように返事をするでしょうか。
「おめでとう」
「さすがだね」
そんな言葉を返すとき、目的語は自然と一人称単数の本人になりがちです。そして気が付けばその人の話ばかりを聞く羽目になる。もちろんあなたがその人に好意を持っていれば楽しい会話のきっかけになるでしょう。けれどももしそれほど好意を抱いていなかったり、むしろあまり興味がなかったとしたら。あるいは別の作業で忙しかったり、考えなければいけないことがあったとしたら。そんな時に一人称単数で話しかけられることは、邪魔にしか感じないでしょう。
二人称で高まる会話の意義
二人称で話しかける例を示してみましょう。
「(君が)いい結果を出したらしいじゃない。大分頑張ったんじゃない?」
「最近(君は)遅くまで仕事しすぎじゃないかな」
この場合の返答はどのようになるでしょうか。例えばこんな返答が考えられます。
「(僕の)努力というよりはたまたま運がよかったんですよ」
「(僕の)仕事の配分を少し見直してみます」
この場合の返答では、目的語は話しかけられたあなた自身になります。
会話そのものも自然とあなた自身を主体としたものになるので、邪魔な会話になる可能性は低くなるでしょう。話しかけられ方と頻度によって、あなた自身のモチベーションが高まる効果も考えられます。