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真の人脈が持つパワー

こうした価値を改めて自覚したうえで、転職活動において自身の人脈を見つめ直してみてほしいと思います。これまであなたを支えてくださった人たち、今後も有益な付き合いを続けてくれるであろう人たちは誰か。

その人たちを、自身の人脈力資産の基盤として考えた際に、次の新天地は今、考えているもので良いか。もしかしたらもっとあなたの人脈力資産を生かして活躍できる、別の場があるかもしれません。

あるいは、その人脈力資産のネットワーク内の人たちに、今回の転職について相談してみると、自分では気が付かなかった方向性、可能性や、新たなご縁のチャンスがあるかもしれません。

繰り返しとなりますが、真の人脈とは「誰を知っているか」ではなく、「誰に知られているか」です。知られているといっても、「悪名高き」では当然困ります。

あなたなら、このことについて詳しい。面白い人だ。実力がすごい。信頼できる、相談できる。こういった「好かれる、頼られる」タイプの知られ方であることが大事です。こうした「知られ力」のある人というのは、万が一なにかに困ったときには、その人脈に連なる人たちが支援・救助してくれるから、「倒れにくい」という強みがあります。周囲が「失敗したままにさせてくれない」ともいえるでしょう。

そういった意味でも、変化と競争の激しい環境の中でタフに活躍する必要のある幹部・リーダーの皆さんにとって、日々の実益の面でも人脈力が必須であることを理解してもらえることと思います。その人脈というものは、WIN-WIN、GIVE&TAKE、お互いが良い関係性や影響、あるいは具体的な支援などをイーブンに与え合うことで成り立ちます。まず自分から相手に、貢献できるものを与える。その積み重ねと信頼からのみ、真の人脈は築かれます。

人脈というと「自分が知っている有名人や偉い人自慢」となってしまう人がいますが、当然、これはいただけません。本質的な人脈の価値をしっかり把握して、転職および今後のキャリアに臨んでもらえればと思います。活躍している経営者の皆さんや、頭ひとつ抜けている幹部・リーダーたちは皆、人脈力資産の価値を正しく知り、それを最大限に活用して成果を上げ続けているのです。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

井上和幸
経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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