塾に行かない聖光学院生 勉強・部活に次ぐ第3の活動
聖光学院中学校・高等学校(下)
――英語劇をいったん脇に置いて、将来やってみたいことは。
生徒B 医学部を目指しているんですが、本当に医学部でいいのかなと迷いが生じています。やりたいことが3つあるんです。1つはひとの役に立つことです。これが医学部を目指す理由です。2つめは英語劇を通じて、グループで取り組む楽しさを知りました。そういう仕事をしたいと思います。3つめはまったく脈絡がないんですけれど、最近、ネットフリックスで海外のドラマを見ていて、海外の生活にも憧れを感じます。どれをやったらいいのかなあと思って。
柔軟性の高い課外活動が今の時代には必要
――それは「国境なき医師団」ですね(笑)。
一同 たしかに!
生徒D 僕もいろんなことに興味があるので、なるべくいろんなことを経験したいと思っています。それと、海外に行ったときにカルチャーショックを受けたので、いろんな外国にも行きたいと思っています。
生徒C 聖光学院のなかにインターアクトクラブというボランティアをする団体があるのですが、そこを通じて2週間タイの孤児院ですごしました。人身売買と隣り合わせだったりして、自分が想像していた以上に過酷な状況を見ました。少しでも役に立ちたいなと思うのですが、そのために自分にどういうスキルが必要なのか、模索中です。とりあえずいまできることとして募金活動を始めました。
生徒A 好きなことを仕事にしたいと思っています。もともと電車が好きだったので、そこから派生して都市計画に興味があります。サッカーも好きなので、クラブマネジメントにも興味があります。いずれにしてもいろんなことを学んでみないとわからないと思うので、いまはいろんな分野のことを学びたいと思っています。海外にも興味があるので、バックパッカーとして世界を旅してみたいです。

(左から)吉岡朋希さん、新地涼介さん、武樋駿さん、上田和弥さん
――ところでなんでみんな丸刈り?
一同 体育祭で負けちゃいまして(笑)。
いま、いろいろな意味で日本の部活のあり方が問われている。教員の労働問題としても、子どもたちの限られた時間の使い方としても。何かの部活に入ってしまうとフルコミットメントを求められ、生活がそれに支配されることもある。ブラック労働文化の温床になっている面もあると思う。
その点、聖光学院の公認団体のようないい意味でのゆるさがあれば、子どもたちが自分のペースでいろいろなことに挑戦するチャンスが増える。たとえば学期によって異なる活動に携われるしくみも面白い。学校現場において、課外活動の種目のバリエーションだけでなく、関わり方のバリエーションがもっと増えたらいいと私は思う。
創立は1958年。カトリックのキリスト教教育修士会が設立した。1学年約225人の完全中高一貫校。2020年の大学合格者数は東大62人、国公立大医学部37人。米ハーバード大や米エール大などの海外大学にも合格者が出ている。東大、京大、国公立大医学部の合格者数の直近5年間(16~20年)平均は105.8人で全国14位。卒業生にはシンガーソングライターの小田和正氏、宇宙飛行士の大西卓哉氏、オイシックス社長の高島宏平氏などがいる。