「任せるが一番」入院で知る 弱みを強さに転じる経営
ミライロ 垣内俊哉社長(下)
――リーダーとして何を大事にしていますか。
「社内外を問わず、言葉を大事にしています。例えば、ミライロでは『障がい者』という表記ではなく、常に『障害者』と表記しています。これは視覚障害者が利用するコンピューターの画面を読み上げるソフト『スクリーンリーダー』では、障がい者は『さわりがいしゃ』と間違って読み上げられる場合があるためです。私たちの理念はバリア(障害)をバリュー(価値)に変えること。そのためには『1ミリ、1音、1色』にこだわり、気づきを持つことが大事だと常に社員には伝えています」
――今後のビジネス展開はどのように考えていますか。
「日本には3600万人以上の高齢者がいます。私はせいぜい歩けないぐらいですが、高齢者になると、歩行が困難になったり、目や耳など五感の機能が低下したりします。障害者向けのサービスは高齢者向けにも応用できます」

学生時代は車いすマラソンや車いすバスケットの選手として活躍した。2016年には東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会のアドバイザーに就任。仕事と読書に多忙な日々を過ごしながらも、健康・体調管理のためのトレーニングは欠かさない。車いすを使ったランニングも1日最低2キロメートルはこなす
「海外も重要な市場になります。世界には10億人超の障害者がいると言われます。欧米や南米の政府からバリアフリー化を手伝ってほしいという問い合わせが増えています。実は日本はバリアフリー先進国なのです。13年に東京五輪・パラリンピックの開催が決定して以降、駅のバリアフリー化が急速に進展しました。意外かもしれませんが、日本は歴史的に障害者に理解のある国です。この国で磨いたユニバーサルデザインのサービスやノウハウを世界で展開したと考えています」
(聞き手は代慶達也)
1989年愛知県安城市生まれ、岐阜県育ち。骨形成不全症により幼少の頃から歩行困難に。立命館大学経営学部在学中にミライロを創業した。