変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

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マネジメントは目標を成し遂げるための手段や方法を考え、管理する能力です。注力する視点は「今」で、ミッションは「計画に基づく職場の維持」といえます。一方、リーダーシップは目標達成に向かってメンバーや組織を導く行動力です。視点は「将来」で、ミッションは「創造的破壊(スクラップ・アンド・ビルド)」です。

これまでのリーダーは時代の変化のスピードが現在より遅かったこともあり、豊富な現場経験をベースに配下のメンバーを束ね、率先垂範できる人材がリーダーとして選ばれてきました。仕事の進め方や人づき合いといった経験を重ね、会社特有の職務を円滑に遂行する能力を早く身に付けた人が出世し、報酬の高いポジションに就いていました。

人材教育も個人の特性に合わせた個別指導は必要なく、OJT(職場内訓練)による日常指導を通じて習得の早い人材を引き上げればよかったわけです。部門責任者(上司)の考えをいち早く理解し、対応してくれる使いやすい部下が重宝された結果、部門責任者による優秀人材の抱え込みが起こり、組織のサイロ化・硬直化が進み、自分の部門しか知らない優秀人材が育ちます。つまり、これまでの日本企業の「タレントマネジメント(優秀人材の育成)」は部門責任者任せであり、計画的に視野の広いタレント人材を育てる環境としては不十分だったといえます。逆に、部門責任者が扱いづらい人材が部門をまたぐ異動を繰り返した結果、会社全体の課題を誰よりも知っているということはよくある話です。

現在はビジネスの複雑性に加え、変化のスピードが速いため、これまでの名プレーヤー型リーダーの視野や能力では限界があります。これからのリーダーは配下のメンバーを「同一集団」として捉えるのではなく、異なる価値観・能力を持った「個人」と捉えた上で、個々のメンバーが気持ちよく働ける環境を与えながら、メンバーのやりがい・モチベーションを向上させることが求められます。そのためには、部下の悩みを聞き、示唆に富む意見を提供し、メンバーのセルフマネジメントを促進させられるカウンセリングスキルが重要になります。また、正社員のみならず契約社員や派遣社員に加え、テクノロジーの活用といった人的労働力以外の労働力もミックスし、ベストな業務体制を検討できるアサインメント能力(仕事への割り当てや配置を考える力)も不可欠です。

ジョブ型雇用がキャリア形成に及ぼす影響

今後の日本の雇用は職種や職務(仕事)の価値に値段をつけ、それに見合った経験・スキルを有する人材を配置し、処遇する仕組み(ジョブ型雇用)へとシフトすることを説明しました。ここでは、ジョブ型雇用がキャリア形成に及ぼす影響を考えてみましょう。ジョブ型雇用は職務と給与をひも付けるので、自分の仕事のレベルを上げ、しかるべきグレード(職位や職階)に就かなければ給与は上がりません。これまでの職能型雇用では社内に限定したゼネラリストとしての経験的な蓄積があれば、異動によって職務を変更しても給与は変わりませんが、ジョブ型雇用ではそうではなくなります。これからは、キャリア(仕事に取り組む中で身に付ける技術・知識・経験と自分自身の生き方)に対し、より主体的かつ自律的な姿勢(自律的なキャリア形成)が強く求められます。

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