わかりにくい給与額 みなし残業と標準賞与のカラクリ
20代から考える出世戦略(108)
逆算で推測する実際の年収
これは推測でしかありませんが、根拠は135万円という標準賞与額です。
一般的に標準賞与額は、月給の正数倍で決定されます。年間賞与月数5カ月分とか6カ月分とかいうやつです。で、年間賞与月数を正数、あるいは0.5か月刻みにしたとき、以下のようになります。
135万円 ÷ 5.5 = 24万5454.5円
135万円 ÷ 5.0 = 27万円
135万円 ÷ 4.5 = 30万円
しかしこのうちのどの金額を12カ月分として計算しても、合計の年収490万2000円にはなりません。
そこで考えられるのがみなし残業です。
ではみなし残業がいくらだと金額が合うのかといえば、それは以下の場合です。
標準賞与135万円(基本給の6カ月分)
つまりA社は月給額はB社より多いものの、基本給額は低い可能性があります。また、みなし残業時間もA社の方が多いので、仮に50時間残業した場合に追加でもらえる残業代が大きく異なってきます。
仮にみなし残業を記載せず、先ほどと同様の書き方をするとどうなるでしょう。
B社:年収408万円(固定残業代なし。月給24万円 標準賞与120万円)
C社:年俸440万円(固定残業代なし)
A社よりもB社の方が年収が大きくなりました。けれどもその差はわずか3万円ですし、賞与額が大きく違うので、A社も悪くないのでは、とも見えます。
では次に、標準賞与の内容を解きほぐしてみます。
保障されていない賞与
もし求人票に「標準賞与」という書き方がされていたとしたら、それはどう見るべきでしょう。
人事制度を設計する人事コンサルタントの視点からは、2つの読み方ができます。
第一に、その賞与は評価によって増減する可能性があるということです。標準、とあえて記すということは、標準でない場合があるということだからです。たとえばA評価だと標準賞与×1.1倍になるけれど、C評価だと0.9倍になる、といった具合です。
第二に、その賞与は会社業績によって増減する可能性があるということです。特に賞与を月数換算する会社に多いのですが、業績が良かったから標準賞与は7カ月分になるけれど、業績が悪かったら5カ月分にある、といった具合です。
これらのことから、標準賞与は、個人評価と会社業績によって変動する可能性が高い、保障されていない金額であると言えます。
A社もB社も記載されているのは標準賞与なので、個人評価と会社業績によって大きく変動する可能性があります。その額はA社の方が多いので、普通の状態ならA社の賞与が多いのですが、環境が変わった場合に必ずしも保証がされません。
だから月給の比較がそのまま生きてきて、やはりB社>A社となります。