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年俸制の意味

一方で年俸と記されているC社は、実は賞与が変動しません。年俸とは年単位での収入を固定する仕組みだからです。仮にこの会社が自分で月数割を決められるとしたら、以下のような選択肢が生じます。

年間賞与月数 6カ月(146万6667円) 月給24万4444円
年間賞与月数 5カ月(129万4118円) 月給25万8823円
年間賞与月数 4カ月(110万円)   月給27万5000円
年間賞与月数 0カ月(0円)     月給36万6667円

この場合の賞与は標準賞与ではなく、必ず受け取れるものです。個人評価や会社業績によって変動することは基本的にはありません。

だから、結論としてC社>B社>A社、となるわけです。

就職・転職を考える皆さんは、ぜひみなし残業と賞与のあり方に気を付けてみてください。

人事制度をフェアなメッセージにしてゆく

最後に少し視点を変えて、経営者側にお伝えしたいことを記します。

それは、見せかけのための給与制度が通用しなくなりつつあるという事実です。

まず、給与額を増やすためのみなし残業代支給が時代遅れになりつつあります。確実に支給される基本給額を明示し、残業をした分だけ払う、という仕組みの方が明らかにフェアです。

また、夏冬賞与についても、あり方を考え直すタイミングが来ています。

まず、個人の評価で月給を変動させているとすれば、さらに賞与にまで反映する必要があるのか=そもそも月給が変われば賞与も変わるはず、という点についての検討です。

さらに、会社業績によって賞与を変動させる、という仕組みについても、本当にそれで優秀な人をひきつけられるのか、という点です。

一つの答えは、パフォーマンスボーナスやプロフィットボーナスとして定義する欧米型の仕組みです。これらは基本的には加算型の賞与の仕組みです。

個人の業績によって賞与を加算するパフォーマンスボーナス。

会社の業績によって特別賞与として支給するプロフィットボーナス。

減らすロジックではなく、加算するロジックで給与・賞与の仕組みを見直していくことが、優秀な人材を確保するための方法なのですから。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。グロービス経営大学院准教授。人事コンサルタント協会理事。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで180社以上の人事評価制度改革に携わる。

〈訂正〉4月27日3時に公開した「わかりにくい給与額 みなし残業と標準賞与のカラクリ」の記事中、標準賞与額に関する計算で誤りがありました。「135万円÷6=27万円」とあるのは「135万円÷5=27万円」、「135万円÷6=30万円」とあるのは「135万円÷4.5=30万円」でした。本文は訂正済みです。

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