倒産の危機こそ笑顔で 流行歌やお菓子で社員を鼓舞
オイシックス・ラ・大地 高島宏平社長(上)
――ボトムアップで会社を活性化させているのでしょうか。
「どちらかというと混合型で、トップダウンとボトムアップが対決している状態です。細かい部分まで意見を求めることが多いです。普通のトップダウンでは大方針を示し、各論まで詰めることはしないと思います。ただ、小売業は日々の現場での積み重ねがブランドやビジネスになっています」
「だからこそ現場にアイデアを求めますし、現場の意見は細かいところまで聞きます。お客さんを期待値以上に喜ばせることが重要だからです。採用面接では私が出るときもありますが、『サプライズをしてもらう人と仕掛ける人、どっちのタイプか』と聞くことがあります。仕掛ける人の方が向いていると思いますし、それを常に考えることが重要だと思います」

最近の趣味は深夜の散歩。1時間程度歩いており、「悩んでいたことも夜だと自信が湧いてくる」と話す。事業のアイデアを思いつくこともあり、翌朝の自分あてにメールしているという
――これまでリーダーをやめようと思った瞬間はありますか。
「全くありません。ただ、何をやってもうまくいかない、能力が足りてないと思うときはあります」
うまくいかないとき、頑張り方を見直す
「振り返って考えると事態や環境は変わっているのに、やり方を変えていないことが原因であることが多かったです。頑張っても光が見えないときは一歩引いて頑張り方を見直しています」
「これまでその繰り返しで、夢中にやってきました。ピンチを楽しむと言いましたが、私が一番楽しんでおり、だからこそ退任なんてこと考えたことが無かったのかもしれません。また、自分が組織の中で働いても、いかに能力が発揮できないかも自覚しています。もちろんリーダーとしてまだ一人前ではありません。ただ、それ以外の会社に行っても価値は出せそうにないなと思います。ポジティブにリーダーをやっている側面と、このように一番合っているから結果として続いている面があります」
(聞き手は佐伯太朗)
1973年神奈川県生まれ。98年東大大学院修了。大学院時代にスタートアップ企業を立ち上げ、ネット事業を手掛ける。マッキンゼー日本支社を経て、2000年オイシックスを設立し、社長に就任。17年から経済同友会の東京オリンピック・パラリンピック2020委員会の委員長。