潰しがきかない仕事はない 第2の人生、業種は幅広く
セカンドキャリアの拓き方 ~50代会社員へのヒント(中)

営業経験で身に付いたノウハウが別の形で生きてくることは多い(イラストはイメージ=PIXTA)
50代以上が人口の半分を占める日本で、社会が元気になるためにはミドルエイジの活躍が不可欠。自立した第二の人生を送るためにも、セカンドキャリアをどのように切り拓(ひら)けばよいのか。自らも博報堂を早期退職してセカンドキャリア支援の法人立ち上げに参加し、後に自身の会社「sfidaM(スフィーダム)」と企業戦略の伴走支援ユニット「Halumni(ハルムナイ)」を設立。現在は経済同友会と兼業をしている小沢松彦さんが、ヒントを伝授する。
前回「第2の人生のステップ 会社辞めず、週末バイトも有効」では「セカンドキャリアに向けてゆるく体験的シミュレーションを」という話をしました。どんな道を選ぶにしろ自分がやりたいことや強みをはっきりさせておくことは必要ですが、曖昧にしたままの人が意外と少なくありません。
就職試験で面接官をする時、「君はこの会社に入って何がやりたいのか」「君にはどんな力があるのか」と聞いている割に、なぜ自分のこととなると明確に答えられないのでしょうか。「強み」が無いわけではありません。蓄積してきた経験や能力を価値化し、言語化・インデックス化していないだけなのです。
自分にはめた「枠」で気付かないこと
例えば新聞記者。何人もの方に「強みは何だと思いますか」と聞いてきましたが「いやぁ~、書くしか能がないのでフリーライターになるぐらいしか潰しがきかないんですよ」と、100%に近い確率で返ってきます。書く力があるということは、相手の考えを引き出したり、相手がうまく表現できないことを整理して言語化したりする力があるということです。
読者の関心を呼ぶような表現ができる点で、優秀な営業と同じです。「お客様が考えていらっしゃる事はこういうことですね、ではこうしてはいかがでしょうか」と伝えることと「本質的な価値」は一緒です。つまり良い取材ができ、良い記事が書ける記者の方は優秀な営業になれる素質もあります。