変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

かく言う私も会社員時代、今も親交があるキャリアと組織論が専門の大学教授に「私みたいな営業は一番潰しがきかないんですよ」と言ったところ「それは潰しがきかないと自分で自分に枠をはめているからだよ」と返されました。当時、私は広告会社で営業として働いていましたが、マーケッターやコピーライターのような専門性はありません。

ところが後に会社を辞めて、この教授たちとセカンドキャリア支援の法人を立ち上げてみると、相談に来る方の強みや志向性を引き出して言語化し、相手に「あなたの強みはこういうことでは?」と提示することが得意だと気付きました。

広告は商品やサービスに込められた様々な価値を短い言葉にして生活者に提示する仕事です。私はコピーライターではありませんでしたが、長い経験の中で「価値を見いだし言葉化する」力を知らないうちに身に付けていたのです。また、営業経験の中で自然と身についた得意先との「間合いの取り方」も、1つの技術として様々な方の相談に乗る上での強みとなっていました。これが広告の営業とキャリアの相談という、一見全く関係の無い仕事がつながる力となったのです。

電機と菓子を結び付けたもの

もう一つ、大手の電機メーカーに勤められていた別の方の例をお話しします。普通であれば、セカンドキャリアとして同じ電機業界の中小企業を考えがちです。ただ、この方は生産設備の立ち上げなどを経験されていました。つまり「生産プロセスのプロ」がこの方の本質の一つ、大きな価値だったのです。これを生かすのであれば、必ずしも電機業界である必要はありません。

結局、ある有名な外国菓子ブランドの生産プロセスの改革を指南する仕事に転じられました。一見、何の関係も無いように見える電機業界と菓子業界を、「生産プロセスのプロ」という本質的な価値が結び付けたものです。強みとは必ずしも資格や役職ではなく、どこへ行っても発揮できる本質的価値であり「ポータブルスキル」です。あなたがしてきた仕事の中にある本質的な価値は何でしょうか。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedoNIKKEI SEEKS日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック