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例えば、以下のようなケースを想定すると、3階層の考え方はこうなる。

<ケース ある会社の利益を5年後に現在の2倍に増やす戦略を練る場合>
シチュエーション→5年後に利益を2倍にする構想を発表。社長は製品ラインナップの見直しやM&A(合併・買収)などもいとわない方針。
コンプリケーション→競合他社がシェアを拡大しており、いまのペースでの売上拡大だけでは目標達成は難しそう。M&Aのターゲット企業は複数あるが、他社も狙っている。
キークエスチョン→コスト削減を含む自前の努力だけで利益目標は達成可能か。もし不可能なら、事業ポートフォリオをどう変えるべきか? M&Aのターゲットはどの会社で、どうアプローチするべきか?

「ありがちなのは、キークエスチョンを忘れて、枝葉の議論に入ってしまうケースです。例えば、利益を出すためにはコスト削減は必須、といきなりその方策を考え始める。あるいはM&Aのターゲット企業を検討し始めてしまう。でもコストの構造からみて大幅な削減は難しいとか、M&Aが真の解決策ではない可能性もある。であれば、そこでどんなにロジカルに解を出しても意味がありません。この本が言わんとするのは、課題の本質を見極め、そういうバリューを生み出せない課題の解決に無駄な労力を割くのはやめましょうということ。新入社員にはまずそのメッセージを受け取ってもらいたい」

人材企業や別の外資系コンサルを経てベインに転じた大原さんの体感では、ベインでは「分析して終わり」というリポート主義ではなく、実際のビジネスにおけるインパクトを重視する結果主義が徹底されているという。多くのデータを集め、何種類ものグラフやチャートを作ると、分析した気になってしまうが、そこに価値はない。問われるのは、本当に解くべき課題に集中しインパクトのある結果を出せるかどうか。そのため社内では「キークエスチョンはなんだっけ?」という問いが呪文のように繰り返されるのだという。

コンサルの価値は「課題解決力」よりも…

就職活動でコンサル人気が高まるにつれ、「選抜コミュニティ」と呼ばれる塾のような組織に入り、選考対策にいそしむ学生も少なくない。志望者の間では、『イシューからはじめよ』も必読書とされているが、大原さんは「就活生として読むのと、ビジネスの実践書として読むのとでは、染み込み方が違うはず」と話す。

「就活段階でのイシューは、選考の突破でしょう。でもそれと、コンサルタントとしての基礎能力をつけることは別。コンサルの価値は『課題解決力』だと思われがちですが、実は『課題設定力』のほうが大きい。そして、それを高めることこそが働き始めてからの新たなイシューになるのです。私はこの本を2010年の刊行直後に読みましたが、今でも年に一度は読み返します。いわば原点でありバイブル。実体験を重ねた上で読むと、毎回新たな発見があります」

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