最後は本部が加盟店を守る コロナ下で現場回り2倍に
ローソン 竹増貞信社長(上)

ローソン社長 竹増貞信氏
24時間営業など事業モデルの見直しが進むコンビニエンスストア。業界3位のローソンは国内コンビニで初めて料理宅配サービス「ウーバーイーツ」を導入するなど、時代の変化に合わせたコンビニ像を模索している。竹増貞信社長は「仲間だからこそ意見は直球で伝える」とリーダーのあり方を語る。
――リーダーとして心がけてきたことは何ですか。
「とにかく現場を回ることです。三菱商事から2014年に副社長として入社したので、実際に店舗で働いた経験がありません。社長として日々、さまざまな報告を受けていますが、一番大切なのはお客様です。正しい判断をするためには、現場で話を聞かなければ消化しきれないと考えています」
1日平均3店回る
「店舗を回るペースは年間約500店でした。新型コロナウイルスの感染が広がった20年からは、その2倍のピッチになりました。1日平均3店を回っている計算になります。社会の価値観や生活様式ががらっと変わり、これまでとは違う日常になった。今、何が起きているのかをこれまで以上に深く知る必要があると考えました。どんな課題があり、これからどう挑戦していくべきか。フランチャイズチェーン(FC)加盟店のオーナーや店長と会って話を聞き、定点観測することを大切にしています」
――国内1万4000店を引っ張っていく存在です。
「FCビジネスはオーナーと本部のどちらが欠けても成立しません。それぞれの役割を果たしながら、一緒に目標に向かって進む。商売のパートナーではあるけれど、仲間でもあるという気持ちが強いです。大切にしているのは感謝する気持ちとリスペクト(尊敬)。同じ目線があって初めて前へ進めます」
「コンビニはこれまでいくつもの災害を乗り越えて成長してきました。その店舗を支えているのはオーナーやスタッフです。災害が発生すると、店のスタッフも被災者であることが多いです。一方で社会インフラとして店を開き続けなければならない状況に直面します。各地のオーナーが支援のために被災地に足を運んでいる姿をよく見かけます。11年の東日本大震災や16年の熊本地震でも、域外からやって来たオーナーが被災地でレジ業務をしていました。困っている時には助け合い、皆で支え合う。そうした精神が根付いています」