最後は本部が加盟店を守る コロナ下で現場回り2倍に
ローソン 竹増貞信社長(上)
―――目標とするリーダーはいますか。
「三菱商事の小林健会長です。小林会長が社長だった当時、私は秘書をしていました。小林会長の行く先々に付いていき、トップの振る舞いを誰よりも近くで見させてもらいました。若い社員と夜に居酒屋で食事をしていたかと思えば、別の日は中東の宮殿を訪ねて国家元首と意見交換していることもあります。飾らないままその場にスッと入っていき、ゆったり堂々と自分の言葉で話す姿が印象的でした。私は粗相があってはいけないと、いつもドキドキしていたのですが、どんな立場の人と会っても全くスタンスが変わらないんです」
「下っ腹に力を入れて頑張れ」
「小林会長があまりに動じないので、国王と会った帰りの車中で、なぜ緊張しないのかを尋ねたことがあります。ポツリと一言おっしゃったのは『まあ、同じ人間だからね』。妙に納得したのを覚えています。社員、オーナー、スタッフ……。ローソンでは約18万人が働いていますが、同じ人間だもんねと思えば、何の気負いもなくなります。そんな出発点から感謝やリスペクトが生まれていくのではないかと思っています」

趣味は家庭菜園。「農園を借り、20平方メートルの畑でいろいろな野菜を育てている」という。今年は虫よけを兼ね、トウガラシに初挑戦。「自分で育ててみると苦労もあり、スーパーに並ぶ野菜から生産者の姿が見えるようになった」と話す
「『毎朝、下っ腹に力を入れて頑張れ』。小林会長にローソンの社長就任を報告した時はこんな返信がありました。社長秘書だった頃を思い出すと、トップとしての責任や覚悟を求められる場面にも直面しました。『ああ、こうやっていくつもの局面を乗り越えていたんだな』と深く感じました。『一日一日、覚悟を決めて仕事と向き合え』というメッセージだと解釈して今も心がけています」
「仲間を守ることはリーダーの大きな責任だと思っています。新型コロナの感染拡大は続き、収束は見通せません。街を支えていこうとしている今は、私にとってまさに下っ腹の力の入れ時。何があっても最後は絶対に加盟店を守り抜くという思いが強くなっています」
(聞き手は宮嶋梓帆)
1969年大阪府生まれ。1993年大阪大経卒、三菱商事入社。畜産部や社長業務秘書などを経て、2014年ローソン副社長。16年から現職。国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」に関する取り組みを統括するCSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)も兼務する。