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澤さんといえば、長髪に髭(ひげ)がトレードマーク。常に明るくプレゼンしているイメージだ。20代の新人時代の写真も見せてくれたが、長髪ではなく、さわやかなイケメン風の好青年。だが、「自分に自信が持てず、女性にももてなかった」と振り返る。20代前半までは自己肯定感の乏しい「劣等生」だった。

しかし、神風が吹いた。95年、米マイクロソフトがOS(基本ソフト)「ウィンドウズ95」を発売し、パソコンが消費者に広がると同時に、インターネット時代が到来した。それまでのIT業界は高度で複雑なシステムを扱うプロ人材の世界だったが、素人が一気にプログラマーの職場に押し寄せてきた。澤さんの立場は相対的に上がった。

さらに転機となったのは97年にマイクロソフトの日本法人に入社したことだ。コンサルタントとしてソフト技術を顧客に伝える役割を担った。企業側も情報化に躍起になっていた時期だが、戸惑ったのは肝心の経営幹部層だった。

ポンコツエンジニアこその説明力

「新たなOSとアプリケーションにバージョンアップしなくては業務率化につながらない」。IT企業の担当者がいくら訴えても、大半の企業のIT部門トップは首をひねるばかり。「日本の大企業の場合、IT部門トップはほとんどが専門家ではない。横文字を羅列されても全く理解されない状態だった」。

澤さんはポンコツエンジニアだったからこそ、その気持ちが理解できた。「意味不明な横文字をどんな言葉に置き換えたら、お客さんに分かってもらえるか。睡眠時間以外はずっと考えるようになった」。澤さんの感覚・友好脳の数値は非常に高い。他人との人間関係を大事にし、共感力を高めるタイプだ。

長髪に髭がトレードマーク

長髪に髭がトレードマーク

澤さんの説明は分かりやすいとの評判を得るようになった。顧客と触れ合ううちに、もっと本質的なことに気づいた。「ITの役割は困りごとを解決し、人を幸せにすることだ」。ある食品メーカーを担当したとき、現場の社員からこんな不満を耳にした。毎日の売り上げデータをコンピューターで処理し、印刷して担当役員に届ける必要があるため、当番制で必ず1人が朝7時に出社しているという。「うちのグループウエアを導入すれば、全部自動化できるので、早朝出社しなくていいですよ」と話すと、現場の社員は一斉に喜んだ。他企業からも引っ張りだこになり、澤さんはグループウエアのトップコンサルになった。

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