変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

世界中のマイクロソフト社員の中で卓越した実績を上げた社員のみに授与される「チェアマンズ・アワード」を2006年に受賞。10万人超の中の12人に選ばれた。国内の大きなイベントでは200人前後のプレゼンターは「NSAT」という独自の評価制度で順位付けされる。澤さんは年間の4つの大型イベントでいずれもトップを獲得した。200点満点で198点の高評価を得た催しもあった。いつの間にか社内外から「プレゼンの神様」と呼ばれるようになった。

未来の幸福の話をしよう

澤さんにプレゼンの3つの極意を教えてもらった。

(1)プレゼンはプレゼント。相手に最もためになる土産物を渡すつもりでプレゼンを準備する必要がある。豪華な重い引き出物より「カタログギフト」のようなものがいい。軽くて持ち運びやすく、得した気分になる話だ。
(2)未来の幸福の話をしよう。例えば、化粧品の商品説明をする際、この成分は何%という情報は不要。顧客が求めるのはこの化粧品を使えば、肌がみずみずしくなり、若返って見えるといった未来の幸福の話だ。正確な情報はネットを使い、自分で調べてもらえばいい。
(3)足し算より引き算。だらだらと長く話すのは時間の無駄遣いだ。要点をまとめ、平易な言葉で短く語る。下手な上司のプレゼンは「時間のカツアゲ」だ。

澤さんは一朝一夕にプレゼン力は高まらないという。コンビニエンスストアで買い物をする際、「Suica(スイカ)で」などと単語でしか話さない人が増えている。「支払いはスイカでお願いします」と一言添えるだけで、相手への伝わり方は格段に良くなる。日ごろから意識して相手が不愉快にならないようなコミュニケーションを心がけることもプレゼン力の向上に役立つという。

「もともと優秀なエンジニアであれば、コミュニケーション力を磨く必要性もなかった。プレゼンターとしての才能は開花しなかっただろう」という澤さん。20年にマイクロソフトを「卒業」した。武蔵野大学の教員になるなど、今後は次世代を担う人材の育成を支援する考えだ。

(代慶達也)

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedoNIKKEI SEEKS日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック